【子育てコラム】医師監修!子供の熱中症の症状と対策は?

本州も本格的な夏が迫ってきていますが、これから8月上旬にかけては、ムシムシとした暑さが増し、熱中症の患者数が年間で最も増加します
そこで注意したいのが大人だけではなく子供。汗をかく機能である「汗腺」が未発達の乳幼児は特に注意が必要です。このコラムでは、子供の熱中症の症状と対策についてまとめていきます。

熱中症とは?どんな症状がある?

熱中症とは、蒸し暑い環境で長時間いることにより、身体の体温を調整する機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。

消防庁のまとめでは、昨年2022年は梅雨の中休みとなり、記録的な高温となった6月最終週から7月初週に搬送人数が最も多くなり15,000人近くに達しました。また、梅雨明けとなった7月下旬に昨夏2回目のピークが来ています。
このように、急激に暑くなるタイミングや梅雨明け、お盆休み明けは毎年、熱中症の患者数が増える傾向があります
熱中症の初期症状には、めまいや立ちくらみのほか、大量の発汗などの症状があり、筋肉痛や足のふくらはぎなどで「こむら返り」が起きることがあります。症状が重症化すると、嘔吐や頭痛、倦怠感のほか、集中力が低下したり、最悪の場合、意識を失ったりすることもあります。

子供ならではのサインに注意!

乳幼児は体温の調整機能が発達していないため、大人よりも熱中症リスクが高まります。特に、言葉を話せない乳児の場合、以下のような症状があらわれることがあります。

・いつもより身体が熱い
・顔がほてる
・おしっこの量が少ない
・ミルクを飲まない

また、幼児や小学生以上のお子さんは、

・だるそうにしていて、動きたがらない
・吐き気・めまいを訴える
・頭痛や腹痛などの症状がある

などの症状があらわれることがあります。
さらに、中学生や高校生では、部活動によって熱中症になることがあり、運動部だけではなく、文化部も特に暑い日は注意が必要です。

自分の体調を言葉で表せない年齢のお子さんは、暑い場合、いつも以上に様子を確認するようにしましょう。上記のような症状がみられる場合は、まずは、冷房の効いた涼しい場所へ移動し、水分や塩分を摂るようにしましょう。また、休憩をする際も一人にはせず、誰かが付き添うようにしてください。

いまからできる対策とは?こんなサインが出たらすぐに病院へ!


基本的な熱中症の対策は大人と一緒です。
①こまめに水分や塩分を補給
②帽子を被って日差しを遮る
このほか、子供ならではの対策としては以下が挙げられます。

◆日差しの強い正午から最高気温の観測されやすい午後3時まで外出をなるべく控える
ベビーカーや子供の身長は、大人の高さよりも低いため、地面からの太陽の照り返しの影響を受けやすくなります。
◆車の中に置き去りにしない
短い時間でも大変危険です。エアコンをつけた状態でも、またちょっとの時間でも、危険ですから絶対にやめてください。
◆屋内も熱中症の危険あり!
時間を決めて水分を摂るようにしましょう。
屋内あそびをするときも、集中しすぎて喉の渇きに気付かないことがあります。大人が見守るようにしましょう。

自力で水が飲めない場合や応答がおかしいときは、ためらわずに救急車を呼んで、すぐに医療機関へかかるようにしてください

子供も大人も注意したい熱中症。大人向けの熱中症対策はこちらのコラムでまとめています。

熱中症の症状や対策は?熱中症警戒アラートとは?気象予報士が解説!


これからが暑さのピークとなりますが、「そらくら」と一緒に、この夏を乗り切りましょう!

<参考>
・厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/

・消防庁「令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r4/heatstroke_geppou_202205-09.pdf

・気象庁「過去気象データ検索」
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php

<監修>吉田邦枝先生【小児科医】 東京医科歯科大学医学部卒。同大学小児科学教室に入局、関連病院で研修後、子育て期間を経て、現在は東京都内、埼玉県内のクリニックに勤務。日々こどもの診療に奮闘中。自然科学全般に興味があり、気象予報士の資格も取得。