台風2号は、5月25日15時現在、猛烈な勢力でマリアナ諸島を西よりに進んでいます。5月に猛烈な勢力となるのは、2015年の台風6号以来のことで、この時期としては最強クラスの台風となっています。
沖縄地方では、5月27日(土)から沿岸海域で台風の影響を受け、29日(月)以降は強い勢力で接近するおそれがあります。その後の進路はまだ不確実ですが、偏西風によって進路が北東へ変わり、6月の月初めに本州付近に接近する可能性も出てきています。
また、週明けの29日(月)頃から本州付近には前線がのび、この前線に向かって台風由来の暖かく湿った空気が流れ込むため、台風の接近前から雨量が増え、大荒れの天気となる可能性があります。
猛烈な台風とは?
台風は、中心付近の最大風速によって、「強い」、「非常に強い」、「猛烈な」に分けられます。中心付近の最大風速が33~44m/sだと「強い」、44~54m/sだと「非常に強い」、そして54m/s以上になると「猛烈な」台風と呼ばれます。
猛烈な台風の中心付近では、時速200km前後の風が吹いていて、倒壊するような家や、送電塔のような鉄骨建造物でも変形するようなものが出てくるため、最大級の警戒が必要です。
台風+前線は大雨の可能性!線状降水帯発生のおそれも
本州では、今シーズンはまだ梅雨入りの発表はありませんが、29日(月)頃からは一時的に前線が停滞する予想です。前線が停滞している時に台風が接近すると、前線に向かって台風由来の暖かく湿った空気が流れ込むため、前線の活動が活発化し、台風から離れた地域でも雨量が増えることがあります。特に、山の南東斜面は、南から暖かく湿った空気が流入すると、地形の影響で雨が強まるため、大雨に注意が必要となります。
また、このような状況下では、線状降水帯が発生しやすく、過去には甚大な被害をもたらしています。
平成30年7月豪雨では、前線や台風7号の影響で、暖かく湿った空気が流れ込み続け、西日本を中心に多くの地域で観測史上1位の雨量の記録を更新する大雨となりました。岐阜県、京都府、兵庫県、岡山県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県の1府10県には特別警報が発表され、線状降水帯による大雨もありました。
線状降水帯の発生しやすい条件は、暖かく湿った風が吹き、その風が山の斜面や前線とぶつかって上昇することや、上空に一定方向の風が吹いていることなどが挙げられます。線状降水帯については、こちらのコラムでも詳しく説明しています。
台風の接近前から早めの対策を!
沖縄地方の沿岸の海域では、うねりを伴って5月27日(土)から次第にしけとなり、先島諸島では29日(月)頃から大しけとなるでしょう。台風の進路等によっては、先島諸島や沖縄本島地方、大東島地方でも28日(日)頃から大しけとなるおそれがあります。海岸付近には近づかないようにし、船舶の固定など早めに対策を進めてください。
また、台風が近づくと急に風が吹き荒れ、先島諸島では30日(火)頃から台風の進路等によっては、暴風となるおそれがあります。飛ばされやすいものは室内にしまうようにしましょう。
さらに、今回の台風は本体から離れた地域でも大雨のおそれがありますので、最新の天気予報を確認し、土砂災害や川の増水など、大雨災害のおそれがある場合は、周囲が暗くなる前に避難を検討してください。