春も紫外線が強いって本当?今すぐ始める日焼け対策の基礎知識

ポカポカ陽気に誘われて外に出かける機会も増えてくるこの時期。まだ3月、4月だからと油断してしまう方もいますが、紫外線は日に日に強まっています。紫外線の知識や日焼けについて学び、今からでも万全の対策を始めましょう!

紫外線とは

肌に大きな影響を及ぼす紫外線。米国皮膚科学会は、老化の約80%が紫外線(光老化)による影響だとしています。ただ、私達の身体に必要なビタミンDの多くは日光紫外線によって補われており、健康を維持するためには日に当たることも必要です。”紫外線=肌の天敵”というイメージだけでなく、正しい知識を持つことが重要でしょう。

① 紫外線の種類

太陽光は波長によって、紫外線・可視光線・赤外線に分けられます。そして、紫外線は、さらにUV-A・UV-B・UV-Cの3つに分類できます。
UV-Aは生活紫外線とも呼ばれ、最も波長が長く、地上に届く紫外線の約90%を占めています。波長が長いため、肌の「真皮」中層まで届き、シワやたるみの原因になります
レジャー紫外線とも呼ばれるUV-Bは、大半はオゾン層で吸収されますが、一部が地表に届き、人体に有害とされます。UV-Bの量は気象庁が茨城県のつくばで観測を行っていて、春から徐々に強まり始め、夏がピークとなり、冬になると弱くなります。UV-Bは主に「表皮」にダメージを与え、シミ・そばかすや炎症の原因となります
UV-Cは最も波長が短く、肌にダメージが大きいのですが、オゾン層で吸収されるため、地表には届きません。

② くもりの日も紫外線は多い?

“紫外線=太陽・夏”というイメージをお持ちの方もいるかと思います。確かに、同じ気象条件であれば、一日の中では正午頃、一年では6~8月頃に紫外線は強まります。
ただ、くもっていても決して油断はできません。快晴の日を基準とすると、薄曇りの日は約80~90%、くもりの日は約60%、雨の日で約30%の紫外線量があります
また、紫外線は太陽から直接受けるだけではなく、空気中のちりなどで散乱したり、地表面で反射したりもするため、注意が必要です。地表面による反射率は、新雪の場合が80%、砂浜で10~20%、アスファルトは10%となっています。
さらに、標高が高くなるほど強まり、1,000mごとに10~12%増加します。

日焼け対策

日に焼けた肌は健康的に見えることもありますが、表皮がやけどをしている状態ですので、肌にはダメージがあります。一般的な日焼けの症状としては、赤くなってヒリヒリしたり、皮剥けしたりですが、時には水ぶくれを起こすこともあります。
日焼けを防ぐ方法としては、紫外線の強い時間帯の外出を避ける、日陰を歩く、日傘・帽子・サングラスを使うなど様々な方法があります。衣服で覆うこともできますが、肌が露出する顔や手足には、日焼け止めを使うことが有効です。様々な種類のある日焼け止めの中から、その時々に合ったものを選んでください。ここからは、具体的に日焼け止めについてみていきましょう。

① 紫外線カット剤とは

日焼け止めの重要な原料といえば、紫外線カット剤です。この紫外線カット剤には、①紫外線のエネルギーを吸収して別のエネルギーに変換する「紫外線吸収剤」と、②物理的に紫外線を反射させる「紫外線散乱剤」があります。
紫外線吸収剤は、肌に塗った時にきしみ感がなく、白浮きもしないのですが、アレルギー反応を起こしてしまう人もいます。一方、紫外線散乱剤は肌の弱い人にもおすすめですが、きしみ感があったり、白浮きしやすかったりするデメリットもあります。
一般的な日焼け止めには、どちらの紫外線カット剤も含まれますが、“ノンケミカル”と記載のあるものには、紫外線吸収剤が入っていません。

② SPAとPAとは

・SPF(Sun Protection Factor)
UV-Bを防ぐ指標として使われます。数字が大きいほど効果が高く、最大の値は50+です。
詳しく説明すると、UV-Bをカットする効果の持続時間を表しています。SPF1=20分間を基準とし、例えばSPF15の日焼け止めを使った場合は、「20分×SPF15=300分(5時間)」、つまり15倍の時間、肌を日焼けから守ってくれていることになります。

・PA(Protection Grade of UV-A)
UV-Aに対する防止効果を4段階で表しています。+の数が多いほど効果が高く、最大はPA++++です。

PA分類 効果の度合い
PA+ 効果がある
PA++ かなり効果がある
PA+++ 非常に効果がある
PA++++ 極めて高い効果

こうした説明を見ると、より効果の高い日焼け止めを選んだ方が良いと思われる方もいるかもしれませんが、肌への負担も大きくなります。SPF50+やPA++++は炎天下のレジャーの際などに使い、日常的にはSPF10~20、PA+~++程度あれば十分でしょう。

③ 日焼け止めの使用期限

一般的に、化粧品の使用期限は、適切な条件下(日が当たらず、風通しの良い涼しい場所)で3年以上品質が安定しているものであれば、使用期限表示の必要はないと法的に決められています。つまり、使用期限の記載がなければ、使用期限(未開封)は製造から3年です。開封してしまうと品質が低下するため、できるだけ1年以内に使い切ることが望ましいでしょう。

日焼け後の肌の手入れ方法

日焼けした肌は正しいケアをしましょう。シミの原因となるメラニンは、強い日差しを浴びると大量に作られます。皮膚のターンオーバー(生まれ変わりのサイクル)によって排出されますが、排出しきれないと残ってシミとなってしまいますので、日焼け後の肌は早めの対策が重要です。
対策としては、まずは「冷やす」ことです。なるべく早く冷やし、広範囲の場合は冷たいシャワーを浴びると良いでしょう。次に「保湿」です。日焼けした肌は水分が不足していますので、肌のほてりが落ち着いたら、化粧水や乳液などで十分に保湿をしてください。この際に、いろいろとケアをしたくなるかもしれませんが、シートマスクやパッティングなどは刺激となる場合がありますので気を付けましょう。

<参考>
・環境省 「2020年3月改正版紫外線環境保健マニュアル」
https://www.env.go.jp/content/900410650.pdf
・気象庁 「紫外線とは」
https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-40uv.html