3月に入り、冬眠していた動物や虫たちも、動き始める頃になりました。3月の満月は、アメリカの先住民族ネイティブアメリカンに「ワームムーン」と呼ばれます。日本語にすると「芋虫月」です。
このコラムでは、ワームムーンの意味や観測できる時間・方角、春の星座の探し方もご紹介します。
ワームムーンの意味や由来は?
「ワームムーン」は、アメリカの先住民族ネイティブアメリカンによる3月の満月の呼び名です。3月は、暖かくなってミミズや芋虫が地面から這い出してきて、土に這ったあとをつける頃であることが由来です。
日本でも3月6日頃には二十四節気の「啓蟄(けいちつ)」があり、冬眠をしていた虫などが地上に出てくる頃を表しています。寒かった冬が終わり春を迎える、満月の名前からもそんな季節の移り変わりが感じられますね。
ワームムーンを観測できる時間や方角は?
2023年のワームムーンは今夜3月7日(火)です。ちょうど満月になるのは夜の21時40分頃と、観測にもベストな時間です。各地の月の出る時間は以下の通りです。
月は18時頃に日が沈んだ方角とは反対の東の空に現れ、午前0時頃に天の頂上を通り、明け方には西の空に沈んでいきます。晴れていれば一晩中、建物などのない開けた場所で月を眺めることができるでしょう。
春の夜空を彩る星座5選
春の夜空を彩る星座。3月上旬は23時頃、4月下旬になると21時頃には、南の空に春を代表する星座が現れます。北斗七星を目印に、春の星座を探してみましょう。
① おおぐま座(北斗七星)
おおぐま座で有名なのが「北斗七星」で、くまの胴体から尾の部分にあたります。北斗七星は星座ではなく、おおぐま座の一部です。おおぐま座は全天88星座の中で3番目に大きい星座です。それでは全天88星座の中で最も大きい星座は何でしょうか?
正解はうみへび座です!うみへび座もこの時期に見られる星座ですが、暗い星が多いため、全貌を探すのは一苦労します。南の低い空に点々と連なり、後述する「ししの大がま」から「春の大三角」の下を通って「おとめ座」の足の先まで伸びています。
② うしかい座
北斗七星のひしゃくの柄の曲線を伸ばしていくと、明るいオレンジ色の星が見つかります。うしかい座の1等星「アルクトゥールス」です。アルクトゥールスは重星をのぞいた単独の恒星としては、おおいぬ座のシリウス、りゅうこつ座カノープスに次いで3番目に明るく見える恒星ですので、見つけやすいでしょう。うしかい座は、アルクトゥールスからネクタイのような形に並んでいます。
③ おとめ座
うしかい座を探した時の曲線をさらに伸ばしていくと、白く光る星が見つかります。これが、おとめ座の1等星「スピカ」で、うしかい座のアルクトゥールスとペアで「春の夫婦星(めおとぼし)」とも呼ばれます。ちなみにスピカが女性で、アルクトゥールスが男性です。
また、「北斗七星」から「アルクトゥールス」、「スピカ」を結ぶ曲線を「春の大曲線」といい、春の星座探しの目印とされます。
④ しし座
しし座を探すには、まずは「春の大三角」を見つけましょう。うしかい座の「アルクトゥールス」、おとめ座の「スピカ」と、しし座の「デネボラ」をつなぐと、きれいな三角形となります。デネボラは2等星で、しし座のしっぽにある星です。
また、ししの頭から前脚にかけては、「?」マークをひっくり返したような形をしていて、「ししの大がま」と呼ばれます。ししの大がまには、1等星の「レグルス」が含まれ、春の星座で見られる3つの1等星のうちの1つです。
⑤ かに座
ししの大がまのすぐ西側に見えるのが、かに座です。3等星以下の星で構成されているため、これまで紹介した星座に比べると都会の明るい地域では見えにくい星座かもしれませんが、かに座のほぼ真ん中、甲羅の部分にはプレセペ星団(M44)があり、暗い場所なら肉眼でも見ることができます。プレセペ星団は紀元前から存在自体は知られていましたが、星の集団であることを発見したのは、かのガリレオ・ガリレイです。
春の天体観測も防寒が必須!
3月に入ると、昼間は暖かさを感じる日も増えますが、朝晩は気温がガクッと下がります。この時期は日本の上空で冬の空気と春の空気がせめぎ合っていたり、よく晴れて風の弱い日は放射冷却で冷え込んだりするためです。
天体観測をする際は、天気予報を確認し、防寒を万全にしましょう。
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<参考>
・アストロアーツ 「星空ガイド」
https://www.astroarts.co.jp/special/2006spring/constellation-j.shtml