寒さが厳しいこの時期は、味噌などを仕込む「寒仕込み」に最適です。各地の蔵で盛んに行われ、個人でも今が仕込みの絶好の機会です。味噌作りに難しいイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、さまざまなキットも売られていて、気軽に挑戦できます。今年はとっておきの「手前味噌」を作ってみませんか。
味噌作りのポイントとは
・ 味噌作りの時期
一般的に、1月下旬から2月が味噌作りに最も適しているとされます。これは、気温が低い環境のため、発酵する際に雑菌が少なく、酵母の活動も活発になるためです。
3月から5月頃に仕込むこともできますが、味噌の色づきが早く、熟成期間が短くなるため、あっさりとした風味になります。6月以降は、夏場の温度管理が難しく、カビの繁殖が活発になるため、初心者にはあまりおすすめできません。
・自家製味噌の作り方
今回は、生大豆を使った味噌作りの工程をご紹介します。煮大豆を使えば、さらに簡単に作ることも可能です。仕込みの容器は、ホーローやプラスチック製の容器、味噌桶、甕(かめ)などを用意していただくか、手軽に始めるならジッパー付きのポリ袋でも問題ありません。
・こうじ・・・500g
・大豆・・・500kg
・塩・・・200g
※上記は目安となりますので、出来上がりの量やお好みでご調整ください
<つくり方>
① 前日に大豆を洗い、一晩(10時間前後)たっぷりの水に浸して戻す
② 前日から水に浸しておいた大豆を大きめの鍋に入れて煮る
③ 指で簡単に潰せるぐらいに大豆が柔らかくなったら、大豆と煮汁を分けて、熱い内に大豆を潰す
④ 塩とこうじを混ぜ、煮汁で硬さを調整しながら潰した大豆と混ぜていく
⑤ 団子状にまるめて、空気を抜きながら容器に詰める
⑥ 常温で直射日光の当たらない場所で発酵させる
・ 味噌の賞味期限は?
麹によっても異なりますが、市販の味噌の多くは3~12か月程度は美味しく食べることができるようです。手作り味噌の賞味期限は特に決まっていませんが、風味が落ちるので1年程度を目安に食べるとよいでしょう。
気温が高かったりすると、味噌の色が濃くなる(褐変)ことがありますが、体に害を及ぼすことはありません。ただ、風味は落ちますので、未開封でも冷蔵庫で保存してください。
味噌は医者知らず
・ 味噌の成分と効果
「味噌は医者知らず」と昔から言われます。これは、味噌が体に良いことを表した言い伝えです。
味噌の主原料の大豆は、「畑の肉」と言われるように、植物性たんぱく質を多く含んでいます。また、発酵することで、アミノ酸やビタミン類を多量に生成されます。そのアミノ酸の中には、生命を維持するために不可欠な必須アミノ酸 8 種類がすべて含まれているそうです。一方で、コレステロールは全く含みません。
また、味噌の健康効果に関しては、さまざまな研究が行われており、がん予防や死亡リスクの低下、高血圧の改善、血糖値コントロール、腸内環境の改善、アンチエイジング効果などの効用があるといいます。
・ 味噌は塩分が高い?
味噌は塩分が高いイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。味噌汁1杯の塩分量は具材にもよりますが 1~1.5g程度で、他の食事と比べて決して多いわけではないんです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」が示す1日の塩分摂取量の目標値は、男性が7.5g未満、女性は6.5g未満ですので、1食に1杯であれば塩分の摂りすぎにはなりません。また、具材を工夫することで、塩分の吸収を抑えることもできます。
高血圧の方や腎臓病患者の方、健康を気にされる方などは、「塩分ひかえめ」や「減塩」の味噌を選んでもよいでしょう。
・ 塩分を抑えたい人におすすめの味噌汁の具
カリウムには、塩分の体内吸収を防ぐ効果があります。カリウムを多く含む食材としては、ほうれん草や春菊、イモ類(さといも・じゃがいなど)があります。また、食物繊維は、体外に塩分を排出するのに役立ちます。食物繊維の多い食材としては、ワカメやごぼうなどがあります。
どれも味噌汁の定番の具材ですね。あとは、具沢山にして、汁の部分を減らすのもよいでしょう。
自分自身をほめるときに「手前味噌」という言葉を使うことがありますが、これは昔の人が自分の作った味噌を自慢し合ったことが由来です。味噌の状態や好みにあわせて半年から1年ほど発酵を見守り、とっておきの自家製味噌で食卓を彩りましょう!
<参考・引用>
・「新みそを知る」 みそ健康づくり委員会
https://miso.or.jp/museum/pdf/new_learn_about_miso.pdf
・全国味噌工業協同組合連合会 「みその賞味期限表示に関するガイドライン(改訂版)」
・厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2020年版)」
・「塩分早わかり 第5版」 牧野直子監修 女子栄養大学出版部