立春も過ぎ、そろそろ鼻のムズムズ感があったり、目のかゆみを感じ始めたりしている方も多いのではないでしょうか?
春は花粉症の方には辛い時期となりますが、今年2023年の花粉の飛散状況はどうなるのでしょうか?
この記事では、2022年の天候から予想するこの春の花粉飛散量や時期、特に注意の必要な日の気象条件、対策などをお話しします。
2023年の花粉飛散量は例年より多くなる予想
2023年の花粉飛散量は、昨年や例年よりも多くなる地域が多いと予想されています。
スギやヒノキの花粉量は昨夏の天候に大きな影響を受けます。
昨年2022年夏の気温は、東・西日本を中心に記録的な高温となり、日照時間も平年より多くなりました。
夏に気温が高く日照時間が多いと、雄花の芽花が多く作られて翌年春の飛散量が多くなります。
また、環境省による34都府県のスギ雄花の調査では、東京を含む14都府県でスギ雄花の着花量が過去10年で最も多く、今年の花粉飛散量も極めて多くなる可能性が高いとのことです。
飛散開始時期は例年並かやや早い
次に、飛散時期はどうなるのでしょうか。
前年の夏に出来た雄花は、11月上旬には成熟し、気温の低下によって「休眠」に入ります。
この休眠期間は、気温が低いほど短くなります。
2022年の11月は全国的に高温傾向、12月は低温傾向であったため、休眠期間は概ね例年通りになったと考えられます。
冬の寒さに一定期間晒されると、休眠から目覚め、開花の準備期間となります。
これは、1月1日からの毎日の最高気温の値を積算し、積算気温が400℃に達した頃に花粉の飛散が始まる頃と言われているものです。
今度は、気温が高いほど準備期間は短く、花粉の飛散開始が早くなります。逆に、気温が低いと準備期間が長くなり、飛散開始が遅くなります。
2023年の1月は、気温の変動が大きかったものの、トータルでは平年並となり、2月は前半を中心に東•西日本は気温がかなり高くなる予想となっているため、花芽の準備期間はほぼ例年並となり、今春の花粉の飛散開始時期は例年並かやや早くなりそうです。
例年通りとなると、スギ花粉は2月中旬頃から飛び始めるため、対策は今の時期から始めたいところです。
また、春の花粉症となれば、スギに続きヒノキにも注意が必要です。
スギ花粉のあと、3月中旬頃からヒノキ花粉に移行していきます。
スギ花粉症の人の約70%がヒノキ花粉症にもなっているため、春終盤かけても引き続き対策を心掛けましょう。
気温が高く風の強い日は特に注意!
今年の花粉傾向を見てきましたが、次に、より花粉の飛びやすい日の条件をお話します。
花粉の飛散には天気が大きく影響します。
例えば、花粉が飛散しやすいのは、気温が高く風の強い日です。
暖かいと雄花が開いて花粉が飛び出しやすく、風が強いと飛び出した花粉が舞い上がりやすくなります。
反対に、雨の日は花粉が飛びにくくなりますが、雨上がりの翌日は2倍の量の花粉が飛ぶと言われているため、注意が必要です。
春の天気は変わりやすく、雨の日と晴れの日が短い周期で交互に訪れるため、天気予報をチェックし、花粉症対策や洗濯物のタイミングなどの参考にしてみましょう。
抗原回避や医療機関で花粉症対策を
ここからは対策方法をご紹介します。
花粉症対策として、まずは抗原回避が大切です。
天気予報の花粉情報などを参考にして外出を控えたり、マスクやゴーグルなどを装用したり、家の中では空気清浄機などを設置したりするとよいでしょう。
また、症状の重い方は、早めに医療機関を受診することが有効です。
抗アレルギー薬の内服や点眼薬、点鼻薬で早めに治療を開始したり、 鼻粘膜レーザー焼灼術や後鼻神経切除術などの手術を受けたりなどの療法があります。即効性はないものの花粉エキスを用いた舌下免疫療法も有効です。
既存の治療で症状の改善ができない重症例では、最新の抗IgE抗体注射薬もあります。
花粉症は症状が辛いことはもちろん、辛さが原因で仕事や家事の効率の低下を招き、社会的な経済損失を引き起こされることも指摘されています。流行シーズンが本格化する前に、最新の情報をチェックしつつ、できる限りの対策を行いましょう。
参考資料:
・環境省 令和4年度スギ雄花花芽調査の結果について
https://www.env.go.jp/press/press_01019.html
東京医科歯科大学医学部卒。同大学小児科学教室に入局、関連病院で研修後、子育て期間を経て、現在は東京都内、埼玉県内のクリニックに勤務。日々こどもの診療に奮闘中。自然科学全般に興味があり、気象予報士の資格も取得。