犬や猫は寒さに強い?大切なペットの寒さ対策とは

一年で最も寒いこの時期。寒さを感じているのは我々人間だけではありません。大切なワンちゃんやネコちゃんが寒さで体調を崩さないか心配ですよね。
今回は、獣医師免許を持つ気象予報士・鈴木勝博氏に、ペットの寒さ対策についてお伺いしました。

<監修>鈴木勝博氏【獣医師】
北海道大学獣医学部卒。卒業後は、都内の動物病院で勤務。その後、気象予報士の資格を取得し、㈱ライフビジネスウェザーに入社。現在は、テレビ局で気象キャスターのアドバイザー業務を行う。また、アニコム損害保険株式会社の協力のもと、「犬の熱中症週間予報」、「猫の熱中症週間予報」を発表している。


――童謡の歌詞から、寒い時期に犬は外で遊び、猫はこたつで暖を取るイメージがありますが、犬は寒さに強く、猫は弱いのでしょうか?

この歌の通りのことが多い印象です(もちろん、丸くなる犬もいれば、庭をかけまわる猫もいます)。猫は、元をたどっていくと、砂漠育ちの動物のため、比較的暑さや乾燥に強いですが、寒さには弱く、歌の印象が強く出ていると思います。ただ最近は、犬の室内飼いが増えてきていて、室内で過ごすことの多い犬は、寒さに弱い傾向です。
また、犬・猫ともに、種類によって、寒さの耐性に違いがあるでしょう。犬でいうと、例えばシベリアン・ハスキー。冬場に行われる犬ぞりレースで活躍する大型犬です。このシベリアン・ハスキーは、アンダーコートとオーバーコートという二種類の被毛を持つ「ダブルコート」の犬で、「ダブルコート」を持つ犬は寒さに強いです。そのほか、ゴールデンレトリバーや秋田犬などが「ダブルコート」です。一方、アンダーコートがない「シングルコート」の犬は、寒さに弱いことが多いです。トイプードルやイタリアングレーハウンド、マルチーズなどが「シングルコート」です。
猫も、同じように「ダブルコート」を持つ猫がいます。スコティッシュフォールド、ノルウェージャンフォレストなどが「ダブルコート」で、猫の中でも比較的寒さに強い種類ではないでしょうか。

――犬や猫が寒い時に見せるサインはあるのでしょうか?

見て分かりやすいのは、人と同じように、寒さによる体の震えです。
また、秋から冬へと季節が進み、徐々に寒くなっていくと、自分の体から熱を逃がさないように、丸まって寝ることが多くなります。さらに、暖かいところで過ごす時間が長くなってきます。例えば、フローリングで寝ていることが多かった犬が、カーペットやベッドの上で寝るようになったり、風通しのいい場所で寝ていた猫が、それこそコタツで丸くなって寝るようになったり。家の中の暖かい場所を求めるようになることが、サインの1つでしょう。
もう1つ、私自身、猫を飼っていたことがありましたが、寒くなると私のそばにいることが多くなりました。いつも以上に甘えているように見えて、かわいいなとその時は思っていましたが、寒くて飼い主の“体温”を求めていたのでしょう。「妙にきょうはそばにいることが多いな」と思ったら、それは犬や猫が寒がっているのかもしれません。

――犬や猫も寒さで風邪をひいたり体調を崩したりするのでしょうか?また、病院を受診する目安があれば教えてください。

人と同様に、犬や猫も、寒さによって、免疫力が落ちてしまう傾向にあります。ですので、寒くなると、いろいろな病気にかかりやすくなってきます。寒さに強い種類の犬や猫でも、注意しなくてはいけません (人のインフルエンザのような、特定のウイルス等による病気が増えることは、あまりありません)。
体調を崩すと、元気がなくなり、食欲が落ちてきます。まったく散歩に行こうとしない、同じところにいつまでも丸まって動こうとしない、ごはんを欲しがらない・食べても量が少ない、など、いつもと様子が違うようなら、必ず病院で診てもらいましょう。
また、ウイルス等の感染によって、鼻水、下痢・嘔吐などの症状が出ます。そういった症状が出た場合も、すぐに受診するようにしましょう。
寒さが直接の原因ではありませんが、寒い時期になると、太平洋側は空気が乾燥する日が多くなります。乾燥によって、皮膚の疾患も増えてきます。皮膚がカサカサしたり、痒がったりするようであれば、診てもらって下さい。


――犬や猫の寒さ対策は具体的に何をすればよいのでしょうか?

エアコンを使って、部屋を暖かく保ちましょう。室温の設定は、飼い主が快適と感じる室温で大丈夫です。どうしても留守番をさせなくてはならない場合があると思いますが、エアコンはつけたままで、部屋の暖かさを保つようにして下さい (電気代が気になるところですが、寒さ対策には必要です)。
暖かい場所を求めるようになるので、毛布やペット用のベッドなどを使うのもいいと思います。底冷え対策として、ホットカーペットも効果があります。ただ、ホットカーペットを使用する際は、コードが保護されたものを使うか、コードを保護するようにして下さい。犬や猫が噛んで、事故が起こらないようにしましょう。こたつも、犬・猫は好きなことが多く、暖を取るにはいいですが、こたつで脱水症状を起こしてしまうことがあります。こたつの中で長時間過ごすことがないように気を付けましょう。

最新の3か月予報(2022年12月20日発表)によると、1月の気温は全国的に平年並か低い予想です。西回りに寒気が流れ込み、冷たい季節風が吹きやすいでしょう。ただ、2月から3月にかけては平年並に落ち着き、3月は北日本で平年並か高くなりそうです。
厳しい寒さのピークもあと少し。必要な対策を講じて、大切なペットを寒さから守りましょう。