冬でも気象災害はある
気象が原因の災害は何を思い浮かべますか?近年では、2019年の千曲川をはじめとする河川で大規模な氾濫が発生した「令和元年東日本台風」や今年2022年9月には東・西日本の太平洋側を中心に大雨をもたらした「台風14号」と「台風15号」など、前線や台風などによる梅雨シーズンから秋の大雨災害の被害の印象が強いかもしれません。ただ、冬でも災害は発生し、事前に備えることが大切です。そこで、このコラムでは、冬に起きやすい災害や対策を紹介していきます。
大雪による自動車の立ち往生
冬型の気圧配置が強まると、日本海側を中心に大雪となることが多々あります。大雪になると道路状況が悪化し、自動車はスリップ、急ハンドルや急ブレーキなどの操作ミス、吹雪による視界不良等で事故につながる可能性が高くなります。また、事故以外にも、坂道では車のタイヤが空回りしてしまい、身動きが取れないということもあります。このような状況になると、渋滞が発生し立ち往生してしまうことも考えられます。ここで過去の事例を紹介します。2020年12月、冬型の気圧配置が強まり、日本海側を中心に大雪となりました。この影響で、関越自動車道では、トラックがスタック(雪道にはまりタイヤが動かなくなる現象)してしまい、大渋滞が発生しました。約2,100台の自動車が立ち往生してしまい、身動きが取れないという状況に陥りました。
冬の雷は要注意!
雷というと、夏に多く発生するイメージがあると思います。しかし、冬でも雷は発生します。春から秋にかけては、山沿いを中心に発生しますが、冬は、日本海側の沿岸部を中心に雷が発生することが多くなるのです。冬の雷は、夏に比べて雲の高さが低く、一回あたりのエネルギーが大きいため、雷が落ちると被害が大きくなる可能性があるため、注意が必要です。
低温による水道管の凍結や破裂
冬型の気圧配置が強まると、強い寒気が流れ込み、全国的に気温がグッと下がることがあります。冷え込みが強まり、気温が氷点下3度前後になると水道管が凍結したり破裂したりするおそれがあります。特に、気温の下がりやすい朝は、水道管が凍結しやすくなるため、朝ごはんの支度をする際に「水が出ない!」ということもあり、注意が必要です。なお、低温により災害が発生するおそれがある場合は、気象庁から低温注意報が発表されます。低温注意報が発表されたら、水道管に保温材を巻くなど、対策するとよいでしょう。また、水道を少し流した状態を保つことで、水の流れができ、凍結しなくなりますので、ぜひ試してみて下さい。
冬の防災グッズについて
冬でも気象災害の発生するおそれがありますので、防災グッズをしっかりと備えておきましょう。そこで、冬に備えておくとよい防災グッズを説明していきます。
① 使い捨てカイロ
冬は気温が低く、手足が冷えやすくなります。もし、自宅が落雷や雪の重みによる樹木の倒木で停電してしまった時、車が大雪で立ち往生してしまった場合は、十分に暖が取れない可能性があります。そこで、使い捨てカイロがあると効果的です。手足が暖かくなるだけでも気持ちが楽になりますので、常備しておくとよいでしょう。
② ハンドクリーム
冬は気温が低くなるだけではなく、湿度が下がることも多くなります。避難所では、アルコール消毒をする機会が普段以上となり、いつもと異なる生活で、肌荒れしてしまう可能性があります。ハンドクリームなど保湿クリームを用意しておきましょう。最近は、たくさんの種類のハンドクリームが売られており、コンパクトなものもあります。また、唇のかさつきが心配な方はリップクリームも備えておくとよさそうです。
③のど飴
湿度が低くなると、肌や唇のかさつきだけではなく、のどがイガイガしたり痛みを覚えたりすることがあります。そんな時は、のど飴を用意しておくと安心です。基本的に賞味期限が長く、非常食としてもオススメです。
④手袋や毛布
避難所では、暖房やストーブが設置されていることが多いですが、体育館などの広い空間だと、十分な暖かさを確保できない場合があります。このため、手袋や毛布があると安心して過ごすことができます。もし、避難所で寝泊まりすることになっても、毛布があれば体を冷やさずに休息することができます。また、車にも常備しておけば、万が一、大雪で立ち往生した場合にも使うことができるので、準備しておくとよさそうです。
ここまで、冬の気象災害と冬の防災グッズを紹介しました。季節を問わず、いつ・どこで災害に見舞われるか分かりませんので、防災グッズの確認をしてみてはいかがでしょうか?
参考
国土交通省 北陸地方整備局 令和2年12月関越自動車道 集中降雪に関する対応検討会の中間とりまとめについて
https://www.hrr.mlit.go.jp/press/2020/3/210331dourobu.pdf
気象庁 冬季の雷
https://www.data.jma.go.jp/cpd/j_climate/hokuriku/column03.html
気象庁 気象警報・注意報の種類
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html