冬の星座は、これまでの秋の星座とは異なり、夜空の明るい都会でも見つけやすいものが多く、どこからでも楽しむことができます。なぜなら、冬の星空には星のなかでも特に明るい1等星がたくさんあるため、星座がたどりやすいからです。星の明るさを大きさで示している星図を見ると一目瞭然になります。この時期の22時頃の西の空には、ペガスス座やアンドロメダ座、みずがめ座、くじら座といった秋の星座がありますが、明るい星が少ないため、都会の夜空で探すのは難しいです。一方、東の空には、明るい星たちが密集していて、なんだか賑やかですね。この記事では、そんな冬の星座の見つけ方を実際の星空の写真を使ってご紹介します。
新月直前の2022年11月23日22時の東京都の星空(出展:星空:Every Starry Night AI ( hoshifuru.jp ))
オリオン座の探し方
オリオン座の位置(筆者が撮影した写真を加工)
まず、冬の星座の中で定番になっているオリオン座から探していきましょう。オリオン座は、リゲルとベテルギウスという2つの1等星をもつため、特に目につきます。また、オリオン座はその形も特徴的で、リゲルとベテルギウスを含んだ長方形の星たちの中に、「オリオンのベルト」と例えられる3つの星が並んでいます。この特徴的な形は、能や狂言で使われる鼓(つづみ)を想像し、「鼓星(つづみぼし)」という呼ばれ方で、古くから日本でも親しまれていました。ちなみに88星座の中で1等星を2つ持つのはオリオン座の他に何があるでしょうか?答えは、みなみじゅうじ座、ケンタウルス座の2つです。ともに沖縄県の一部で見ることができますが、本州で2つの1等星を見ることができるのはオリオン座しかありません。
おおいぬ座・こいぬ座の探し方
おおいぬ座・こいぬ座の位置と探し方(筆者が撮影した写真を加工)
オリオン座が昇っていく方向と反対側(東側)に、オリオンのベルトを延長していくと、ひときわ明るい星が見つかります。この星は全天の中で最も明るく見えるシリウスです。この明るい星が含まれる星座がおおいぬ座になります(写真では富士山に隠れています・・・すみません)。おおいぬが居るのならどこかに、こいぬも居そうですよね。オリオン座のベテルギウスとおおいぬ座のシリウスを結ぶ線を底辺として、オリオン座と反対方向に三角形を描くと頂点に明るい星がありませんか?これが、こいぬ座のプロキオンです。この三角形は「冬の大三角」とも呼ばれています。ちなみに「こ〇〇座」は、他にいくつあるでしょうか?正解は、こうま座、こぎつね座、こぐま座、こじし座の4つです。なお、おおぐま座・しし座はありますが、おおうま座や、おおぎつね座は存在しないんですよ。
おうし座の探し方
おうし座の位置と探し方(筆者が撮影した写真を加工)
再びオリオンのベルトに戻って、今度はオリオン座が昇っていく方向に伸ばしていくと、少し離れたところにV字の明るい星たちが見えてきます。このV字の星々は、おうし座の顔の部分にあたり、V字の左上でひときわ輝く明るい星が1等星のアルデバランです。このV字の星たちは、「ヒアデス星団」と呼ばれ、散開星団というグループに属します。古来より日本ではヒアデス星団のことをお寺にある釣り鐘にみたてて、「釣鐘星(つりがねぼし)」と呼んでいました。
ふたご座の探し方
ふたご座の位置と探し方(筆者が撮影した写真を加工)
次に、おうし座と同じく、占いで有名な星座である、ふたご座を探していきましょう。オリオンのベルトからベテルギウスの方向へ見ていくと、横並びで明るい星たちが、ほぼ平行に並んでいます。これがふたご座の星たちで、一番遠い所にあるのは、2等星のカストルと1等星のポルックスです。では、カストルとポルックス、どちらが兄で、どちらが弟の星でしょうか?正解はカストルが兄の星、ポルックスは弟の星とされています。意外にも、明るいポルックスの方が弟になるんですね。
ぎょしゃ座の探し方
ぎょしゃ座の位置と探し方(筆者が撮影した写真を加工)
最後にもう一つ、オリオン座の近くの星座を探しましょう。オリオンのベルトからオリオンの頭(鼓星のうち、ベテルギウスを含む短辺)の方向へ見ていくと、特徴的な五角形の星が見つかります。この星たちが、ぎょしゃ座で、五角形の中でオリオン座から最も遠く明るい星が、1等星のカペラです。ぎょしゃとは馬車に乗って馬を操る人のことを指します。星座のもととなったギリシア神話には、馬車に乗った人が何人か登場し、そのうちの誰がモデルになったかは定かではないそうです。
まとめ
冬のダイヤモンド富士(筆者が撮影した写真を加工)
いかがでしたか?今回は、冬の星座のうち代表的な6つの星座をとりあげました。なお、紹介した1等星のうち、おうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲル、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラの6つを結んでみましょう。きれいな六角形になりませんか?実は、この六角形には名前がついていて、「冬のダイヤモンド」と呼ばれています。ぜひ晴れた日には、今回紹介した星座たちと、寒空に輝くダイヤモンドを探してみてください。
参考文献
「天文年鑑2022年版」2021年11月 誠文堂新光社
星空・星図素材 ベクター ai | CC BY 3.0 | 星降る「https://hoshifuru.jp/EveryStarryNight/starchart/ai/」