オリオン座流星群の極大はいつ?流星群の豆知識と一緒に夜空を見上げよう!

10月下旬は北海道の気象台からモミジやカエデの紅葉が発表されはじめ、多くの人が秋の訪れを感じはじめるのではないでしょうか。紅葉前線が南下する頃になると、お天気も夏から秋へと変わりはじめます。蒸し暑い夏の空気から、しだいに心地よい秋の空気に入れ替わると、色々とやる気のスイッチが入りますね。読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋と色々ありますが、天体観測もおすすめのシーズンになります。それは、空の湿気が少なくなり、澄んだ星空が見えるためです。夏の星座や天体もよく晴れればダイナミックできれいなものが多いですが、蚊など虫たちの活動も活発です。一方、秋からは虫の数が減っていくので、虫の苦手な方も天体観測を楽しむことのできるシーズンになりますよ。そんな天体観測シーズンの始まりを告げる天文現象が、オリオン座流星群です。

オリオン座流星群の極大はいつ?

オリオン座流星群極大時刻の東京都の星空(出典:星空:Every Starry Night AI ( hoshifuru.jp ))

オリオン座流星群の活動が最も活発になる極大は、2022年は10月22日03時頃と予想されています。ちょうど土曜日の未明にあたり、また月明かりの影響もあまりないため、観測条件はかなり良さそうですね。極大の時刻になると、観測に適した夜空の暗い場所では1時間に15個前後見ることができるそうです。また、流星が流れてくるオリオン座はちょうど南の空の高い所にあり、オリオン座を中心に空の広い範囲で流星を見ることができますよ。なお、オリオン座流星群は極大の日の夜だけでなく、前後数日も活発に流星が流れることがあるそうです。この時期は、秋雨前線などで天気に恵まれない場合もありますから、数日間の余裕をもって臨むと、観測のチャンスが高まりますよ。

オリオン座流星群の特徴

オリオン座流星群は他の流星群と比べて、あっという間に流れる流星が多いことが知られています。流星群によって、流星の見た目の速さが異なるのはなぜでしょうか。それは流星のもととなる流星物質と呼ばれるチリの運動がカギになります。流星物質は、彗星が太陽に近づいた時に放出されるチリなどからなっていて、彗星とほぼ同じ軌道で太陽を回っています。この流星物質の軌道と地球の軌道が重なり、流星物質が地球にぶつかることによって発生するのが流星群です。流星群の見た目の速さは、流星物質が太陽を回る速さに加えて、地球にぶつかる時の運動方向によっても決まります。車に乗っている時を思い浮かべると、後ろから追い抜いてくる車よりも、対向車線を走る車のほうが速く見えますよね。それと同じように、地球に後ろからぶつかってくる流星よりも、正面衝突する流星のほうが、速く流れて見えるわけです。なお、流星は見かけの速さが速いほど明るく発光するため、オリオン座流星群では火球と呼ばれる特に明るい流星が出現しやすいと言われています。このような違いを知りながら流星群を観測すると、また違った見え方ができるかもしれません。

流星群は宇宙ステーションからどのように見える?

流星は地球にいる私たちだけではなく、国際宇宙ステーション(以下、ISS)で活動している宇宙飛行士たちも見ることができます。ではISSの宇宙飛行士たちには、流星はどのように見えるのでしょうか?実は、宇宙飛行士たちは、流星を見上げるのではなく、見下ろしています

ISSから撮影したペルセウス座流星群の流星(出典:NASA Image ISS028-E-24847)

なぜなら、流星が光を放つのは地上約80~120kmであるのに対して、宇宙ステーションは地上400kmぐらいを回っているためです。意外にも、流星は宇宙ステーションよりも低い場所で起きていたんですね。流星は、最も気象現象に近い天文現象と言えるかもしれません。

流星群が宇宙ステーションとぶつかる危険性は?

ISSは、1cm以下の微小な隕石や人工物の破片がぶつかっても壁に穴があかないように、バンパと呼ばれるアルミ製の厚い板で保護されています。また、流星物質と衝突する確率も低いことから、あまり気にされていないそうです。ただ、中には数cmの火球クラスの流星物質もあるため、活発な活動が予測されるペルセウス座流星群やしし座流星群の場合、ISSの姿勢を変更したり、船外活動を控えたりするなどの措置が取られています。仮に壁に穴があいた場合でもすぐに空気が抜けきることはなく、退避や修理までに十分な時間が取れるそうですのでご安心下さい。なお、流星群に備えるのはISSだけではなく、人工衛星も衝突時のダメージを減らすように姿勢を変えるものがあるそうですよ。

流星群観測で気を付けたいこと

暗闇に眼を慣らすほどたくさんの流星を見ることができます。観測中に明るいものを見てしまうと流星が見えにくくなってしまうので、スマートフォンや懐中電灯などの光源を無暗に使わないようにしましょう。なお、赤い光ほど、この影響が少ないと言われています。やむをえず明かりが必要になる場合は、懐中電灯の先に赤いセロファンを貼っておくと、快適に流星観測を行えますよ。
また、なるべく夜空が暗い場所ほど流星を観測することができますが、そのような場所は多くの危険が潜んでいます。暗くなる前に観測場所の周辺をよく確認し、足場の悪い場所や有害鳥獣の居そうな茂みに近づかないようにしましょう。何かあった時のために、複数人で行動することも大切です。また、長時間にわたって流星観測を行う際はトイレ事情も問題になってきます。周辺の公衆トイレやコンビニエンスストアの場所を事前に調べておきましょう。
さらに、平年の10月の最低気温を調べると、北日本だけでなく東日本の山沿いでも10℃を下回ります。

10月の最低気温の平年値(出典:気象庁)

寒気が流れこんだり、放射冷却のよく効く晴天の日は、この最低気温の平年値よりも大幅に冷えることもあるでしょう。真冬の屋外で過ごすように、コートニット帽マフラーなどの服装をもっていき、カイロなどの暖を取れるグッズもあると安心です。せっかくのお出かけでケガや事故に合わないように、安全で快適な天体観測を行いましょう。

 

<参考>
「天文年鑑2022年版」2021年11月 誠文堂新光社
「新・天文学事典」2013年3月 谷口義明
ファン!ファン!JAXA! https://fanfun.jaxa.jp/faq/detail/203.html
国立天文台 主な流星群 https://www.nao.ac.jp/astro/basic/major-meteor-shower.html
星空・星図素材 ベクター ai | CC BY 3.0 | 星降る https://hoshifuru.jp/EveryStarryNight/starchart/ai/