キノコの下処理とキノコ狩りのコツをご紹介!毒キノコにはご注意

キノコ狩りの魅力、天然と栽培の違い

暑さに弱いキノコは、気温が下がってくる秋に旬を迎えます。食物繊維が豊富で食べて味よし、健康やダイエットの心強い味方としても私たちの生活とは切っても切り離せない存在です。そんなキノコですが、野生のいわゆる天然のキノコは市販品とは比べ物にならないほど香りが高く、おいしいんです!今回は天然のキノコを楽しめるキノコ狩りをご紹介していきます!
天然のキノコは種類によって見た目も大きく違います。下のキノコは何の種類でしょう?

正解は、エノキタケなんです!
あのスーパーで見る白くて弱そうなエノキタケが自然界ではこんなに立派に育ちます。
冬の積雪期にも発生する力強くたくましいキノコで、別名「ユキノシタ」「ウインター・マッシュルーム」と呼ばれてぬめりが強いのが特徴です。
探すところからなので手間はかかりますが、こんなうれしい驚きもキノコ狩りでは味わえます!

準備をしてキノコ狩りに行ってみよう!

①まずキノコ狩りに行く準備をしましょう!

服装はハイキングに行くような動きやすい格好でOKです。虫刺され対策で、上下長袖、靴は歩きやすいスニーカーが良いでしょう。

持ち物は地図、方位磁石、キノコを入れるかご、キノコの本キノコを小分けにする袋、ナイフ、救急用品などを持参してください。

②次はキノコの採れる場所です。

キノコ狩りというと、じめじめした薄暗い森の中を連想しますが、実際は比較的明るく、太陽光が適当に入り、水はけがよく、風通しの良い東や南向きの斜面に多いんです。あまり山奥に入らなくてもハイキングコースやスキー場のゲレンデ、キャンプ場などでも見つけることができます。また、慣れない場所では、宿や地元の人から情報を収集したり、直売所で採れるキノコの確認したりすると良いでしょう。

③キノコを採る際には注意点があります。

日本の山は私有地、共有地、国定・国立公園がほとんどです。私有地や村などの共有地では、必ず許可を得ることが必要です。国立公園の場合は、採取が禁止されています。
いざキノコを見つけたら、雑に採ってはいけません。欲をかいてほじくり返すように採取してしまうと、キノコの本体である菌糸束がバラバラになり、毎年発生していた場所なのに、今後取れなくなってしまうこともあります。
ドイツでは、キノコを見つけたら、すぽっと抜かずに、生えている状態でナイフを使って、石づきを残して切るのが常識だそうです。
採取したら、土やゴミを取り除きながら袋に入れましょう。これを怠ると、料理をする段階で、せっかくのキノコがこわれ、ひだの中まで土やゴミが入ってしまいます。一つのキノコについていた虫が全部に回ってしまうこともあります。
また、初めてであればキノコに詳しい人と一緒に行ったり、キノコ狩りのツアーに参加したりしてみるのも良いでしょう。

天然のおいしいキノコをご紹介

キノコ写真①

まずはマツタケ!(キノコ写真①左)
日本を代表するキノコの王様で、秋のアカマツ林に生えます。「香りマツタケ」と呼ばれる優雅な香りが特徴です。

次はナメコ(キノコ写真①中央)
栽培品と似ていますが、栽培品は傘が開く前に出荷しているため、天然のほうが傘が開き、やや大振りです。10~11月頃に主にブナの倒木や切株に群生します。天然のほうが、ぬめりや味、歯ごたえが優れています。

3つ目は天然のマイタケ(キノコ写真①右)
東北地方の山林に多く見られるキノコで毎年同じ場所に生えます。直売所では一株数千円の値が付くものもあり、味と香りが高く、たとえ親子であってもその場所を教えないと言われています。
見た目は栽培物と似ていますが、味や香りの面で圧倒的に天然が勝ります。9月中旬から10月中旬にかけてミズナラやブナ、クリなどの広葉樹の大木の根元に発生します。

キノコ写真②

4つ目はヒラタケ(キノコ写真②左)
夏から秋にかけて、広葉樹の倒木や枯れ木に生えます。肉厚で弾力があり、癖がなくどんな料理にも合います。

5つ目はムキタケ(キノコ写真②中央)
筆者が秋田でキノコ狩りをした際に最も多くお目にかかったのがこのキノコです。形がいわゆるキノコ型ではなく、半円の平たい形をしています。名前のとおり傘の表面がむけることからそう呼ばれており、身がプルプルで、山のフカヒレと呼ぶ人もいます。ブナやミズナラの倒木に発生します。

【毒キノコ!】ツキヨタケ(キノコ写真②右)
誤食例が最も多いキノコで、直売所で間違えて販売したケースもあります。シイタケやムキタケ、ヒラタケに外見がよく似ています。8~11月のブナの枯れ木に生じます。最大の特徴は、柄の部分に黒いしみ状のものが見られる点ですが、同じ木にムキタケとツキヨタケが一緒に発生することもあるため、一つ一つ確認が必要です。中毒症状は、激しい嘔吐や下痢、腹痛です。

下処理のやり方

採取したキノコは時間が経つにつれて、加速度的に傷みが早くなります。その日のうちに下処理を済ませましょう

①キノコの掃除

山採りのキノコは泥がついています。濡れた布で傘の汚れなどをさっと拭きましょう。そして、なるべく手で石づきから取ります。

②虫出し

特に地上に生えているキノコは虫が付きやすいです。採った日のうちに処理をしないと食べられなくなってしまうこともあります。虫の駆除には塩水が一番!ボウルいっぱいの水に塩一つまみを加えて、そこにキノコをつけておきます。時間が経てば小さな虫も追い出せます。

③ゴミの洗い出し

生食するキノコ以外は、沸騰したお湯に2~3分浸してから冷水にとって洗う方法でゴミ出しをします。湯を通すことでゴミが落ちやすくなります。キノコは切ると味が落ちてしまうので、その前に洗いましょう。

大量に収穫し、その日に使いきれないときのおすすめの保存方法を紹介します。

★乾燥
シイタケやヒラタケ、マイタケなどに向いており、香りやうまみがさらに出て、おいしくなります。ただ、ナメコなどぬめりのあるものには向きません。
キノコはできるだけ水洗いをせず、濡らしたふきんなどで拭って汚れを落とします。その後重ならないようにザルに広げて、風通しの良い場所で日に当てて乾燥させます。乾燥したら、乾燥剤などと一緒にビニール袋などに入れましょう。

★冷凍
キノコを適量のお湯に入れて一煮立ちさせ、粗熱を取り、ゆで汁と一緒にジッパー付きの袋などに入れて、冷凍します。食べるときは凍ったまま、あるいは半解凍の状態で使用します。

食べるときは、味噌汁や鍋に入れたり、おひたしにしたりしますが、調味料は控え目にして、だしはあまり使わず、キノコのうまみを味わいましょう。


キノコ狩りのメインはもちろん美味しいキノコですが、秋の紅葉など季節を身近に感じることができます。今年の秋は準備をしてキノコ狩りに出かけてみませんか?

 

<参考>
小宮山勝司「さわやかライフ きのこ狩り名人のきのこ料理」1992年8月
大作晃一、吹春俊光「おいしいきのこ 毒きのこ」2016年7月
菅井康司「outdoorbooksきのこ狩り入門」1996年8月