木枯らしとは?
10月に入り、秋も深まってきました。この時期に天気予報などで用いられる言葉に「木枯らし」があります。木枯らしとは、晩秋から初冬にかけて吹く、北よりの強い風のことを言います。木枯らしの語源は、字のごとく、強い風によって葉を散り尽くし、枯らしてしまうことに由来しています。実は、木枯らしは日本全国で発表されるわけではなく、東京地方と近畿地方でしか発表されません。また、期間の最初に吹く木枯らしを「木枯らし1号」と呼びます。では、木枯らし1号は、どのようなときに吹くのか説明していきます。
木枯らし1号の条件
木枯らし1号が発表されるためには、条件がいくつかあります。条件には、期間、気圧配置、風向・風速が定められており、東京地方と近畿地方で多少異なります。
(気象庁の基準をもとに表を作成)
上の表は、東京地方と近畿地方の木枯らし1号の発表条件をまとめたものになります。まず、期間に関してですが、近畿地方は冬至(12月22日ごろ)までと長くなっています。気圧配置は、東京地方と近畿地方ともに同じ条件となっており、西高東低の冬型の気圧配置の時としています。風速は、東京地方・近畿地方ともに、最大風速8m/sと決まっていますが、風向は、東京地方で西北西~北、近畿地方は北よりの風と、多少の違いがあります。なお、この基準が採用されたのは1991年からで、発表されなかった年は東京地方で2018年、2019年、2021年の3回、近畿地方は1992年の1回だけとなっています(2021年まで)。
木枯らしのメカニズム
木枯らし1号の発表条件を説明しましたが、木枯らしはどのようにして発生するのでしょうか。発表条件の中で、東京地方・近畿地方ともに西高東低の冬型の気圧配置というものがありますが、これが重要になってきます。
上の図は木枯らし1号が発表された時の天気図になります。西高東低の冬型の気圧配置とは、西に高気圧、東に低気圧がある状態を言います。この気圧配置になる時は、北よりの冷たい風が吹きます。この北よりの風が日本の山脈にぶつかり、日本海側では上昇流が発生し、雨や雪が降ります。このことから、日本海側は雨に濡れて枯れ葉が風に舞うような状況になりにくく、木枯らしという言い方はほとんどしません。一方、太平洋側は山脈から吹き下ろす下降流が発生し、乾燥した北よりの風が吹きます。この乾燥した北よりの風が強まると、木枯らしということになります。今年は木枯らし1号が発表されるのか、またいつ発表されるのか注目です。
<参考>
気象庁 いろいろな風に関する用語
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kaze.html