今週末の9月13日(土)から21日(日)までの9日間は、東京で「世界陸上競技選手権大会」が開催されます!日本での開催は3回目で、東京での開催は1991年以来34年ぶりとなります。
このコラムでは、世界陸上競技選手権大会の歴史や陸上競技と気象の関係、2025年の開催期間中の東京都心の天気・気温を解説していきます。
世界陸上競技選手権大会の歴史と東京2025世界陸上とは?
・世界陸上競技選手権大会の歴史
世界陸上競技選手権大会は、1980年のモスクワオリンピックの際に西側諸国のボイコットがあったことを契機に1983年にフィンランドのヘルシンキで第1回大会が開催されました。1991年の東京大会までは4年ごとに開催されていましたが、その後は2年ごとになり、2025年の東京大会は20回目のアニバーサリーイヤーです。
日本での開催は過去に2度あり、1度目は1991年の東京(旧国立競技場)、2度目は2007年の大阪(長居スタジアム)です。次回2027年大会は中国・北京市にある北京国家体育場(鳥の巣)で開催されることが決まっています。
・東京2025世界陸上の概要
今大会には200か国・地域から2,000名以上の選手が参加し、49種目を争います。
種目は以下の通りです。
メイン会場は、東京都新宿区にある国立競技場です。
マラソンと競歩は国立競技場を発着し、都内のコースを回ります。競歩は神宮周辺ですが、マラソンは国立競技場をスタートした後、新宿御苑や東京ドーム、秋葉原、日本橋、銀座、大手門(皇居)といった都内の主要観光スポットを巡るので、多くの人が沿道で観戦するチャンスがあるでしょう。
陸上競技と気象の関係と9月に注意したい気象条件は?
・陸上競技と気象の関係
① 気温
湿度や風速にも左右されますが、短距離走であれば一般に20~30℃ぐらいが適しています。気温が低ければ筋肉が緊張しやすく、暑い方がパフォーマンスは高まることもありますが、熱中症のリスクもあります。
フルマラソンであれば、2012年に発表された「フルマラソンの記録に影響する環境要因(Impact of Environmental Parameters on Marathon Running Performance)」という学術論文では6~8℃ぐらいが最適としていて、9月の東京はフルマラソンには過酷な気温条件と言えそうです。
② 湿度
湿度が高いと汗が蒸発しづらく、体温の調整が難しくなります。相対湿度は60%以下が望ましいものの、東京都心の平年9月(1991-2020年)の相対湿度は75%ですので、スポーツをするにはやや高いと言えます。
③ 風
短距離走などのトラック競技では、向かい風より追い風の方がよい記録が出やすく、風の強さも影響します。一般に1m/sの追い風でタイムは約0.1秒ぐらい速くなると言われるようです。
・9月に注意したい気象条件
① 気温(熱中症)
9月はまだ残暑の厳しい季節です。平年9月(1991-2020年)の東京都心の日中の最高気温は27.5℃で、一般的には下旬になるにつれて気温は下がっていきます。朝晩の最低気温は20.3℃で、20℃を下回ることもあります。
真夏よりは熱中症のリスクが低いものの、残暑が厳しい年は35℃以上の猛暑日となることもあり、昨年2024年9月18日には東京で最も遅い猛暑日を記録を更新しました。
② 大雨(秋雨前線や台風)
一般に9月になると太平洋高気圧が南下し、上空の強い風(偏西風)が日本付近を通るようになるため、台風が日本に上陸しやすくなります。また、9月は本州付近に秋雨前線が停滞しやすく、湿った空気が流れ込むことで台風の接近前から前線の活動が活発となり、大雨となることがあります。平年9月(1991-2020年)の東京都心の1か月の雨量は224.9mmと10月に次いで年間で2番目に多い月です。
大会期間中の東京都心の天気や気温は?
この先は、低気圧からのびる前線が度々通過し、天気は周期変化となるでしょう。
明日13日(土)からの三連休は雨が降りやすく、晴れ間の出る日も天気の急変に注意が必要です。連休明けの16日(火)から18日(木)は晴れたりくもったりで、午後は急な雨や雷雨となることがあるでしょう。19日(金)以降は前線が通過するため、まとまった雨となり、大雨となるおそれがあります。
気温は30度前後の日が多く、湿度が高くムシムシした体感となるでしょう。晴れ間が出ると猛暑日一歩手前の暑さとなる日もあり、熱中症に警戒が必要です。
観戦に行く方はレインウェアなどの雨具を用意し、雨で濡れたり滑ってしまったりする可能性があるため、足元は履き慣れたスニーカーなどの滑りにくい靴を用意しましょう。レインウェアの中は蒸れやすいため、風通しの良い服装をお選びください。
<参考・引用>
・東京2025世界陸上競技選手権大会 公式サイト
https://worldathletics.org/jp/competitions/world-athletics-championships/tokyo25
・Impact of environmental parameters on marathon running performance ,2012
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0037407
・気象庁 過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php