ヒートショックはなぜ起きる?原因やなりやすい人、予防ポイントを解説!

ヒートショックとは?基本を解説!

ヒートショックとは

◆ヒートショックって何?原因は?

ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移動するなどの急激な温度変化によって、身体に負荷がかかり発生する健康リスクのことです。大きな気温変化が引き金となり、血圧が大きく変動することで、失神したり心筋梗塞や脳出血・脳梗塞などの重大な病気を引き起こしてしまうことがあります。

◆ヒートショックが起こりやすい場所ってどんなところ?

普段の生活の中でヒートショックが起こりやすいシチュエーションを紹介します。

①入浴時
暖かい部屋から、暖房のない脱衣所や浴室に移動することで、血圧が一気に上昇します。その後、お風呂に浸かり身体が温まることで血管が広がり、血圧が下がります。この急激な血圧の変化によってヒートショックが起こりやすくなります。

②トイレなど暖房していない部屋へ移動する時
暖かいリビングから暖房の効いていないトイレや廊下、玄関などへ移動する場合も、ヒートショックの危険があります。

③サウナ
自律神経の働きを高めるとして人気のあるサウナですが、サウナ室と水風呂を交互に入る交互浴も、温度変化の大きな場所を行き来するため、ヒートショックを起こしてしまう可能性があります。

ヒートショックになりやすい人はどんな人?

ヒートショックになりやすい人

以下に当てはまる方は、ヒートショックを起こしやすいかもしれません。日頃から注意が必要ですね。

・高血圧の方
平常時の血圧が高めの方は、血圧の変動も大きくなりやすいため、ヒートショックになりやすいと言われています。

・糖尿病、脂質異常症の方
糖尿病などの持病がある方は、動脈硬化が進み血管が硬くなっている可能性があるため、重大な血管の病気を招いてしまう恐れがあります。

・高齢者の方
身体の機能が衰え、持病のない元気な方でも体温や血圧の変動が起こりやすくなっています。

◆若い人でも以下に当てはまる場合は注意

・食後や飲酒後、すぐにお風呂に入る方
食後や飲酒後は、血圧が下がりすぎることがあります。食事後は30分~1時間程度時間をあけてから、飲酒後はアルコールが抜けてから入浴するようにしましょう。

・熱いお風呂が好きな方
42℃以上の熱いお風呂に浸かるのが好きな方も要注意。熱い湯に浸かって急激に体温が上がり、血圧が下がってヒートショックを引き起こす可能性があります。

・一番風呂が好きな方
まだ浴室が温まっていない中での入浴になるため、注意が必要です。

ヒートショックの症状一覧

ヒートショックの症状一覧

ヒートショックの症状には、軽度のものと重度のものがあり、症状が重い場合は死に至る場合もあります。確認しておきましょう。

<軽度の症状>
・めまい
・立ちくらみ

<重度の症状>
・意識の消失
・激しい頭痛
・吐き気、嘔吐
・ろれつが回らない
・四肢の脱力感、麻痺

ヒートショックが起きたらどうする?

めまいや立ちくらみなどの軽い症状が現れた場合は、その場にゆっくりとしゃがみましょう。可能であれば横になり、血圧の変動が落ち着き、症状が無くなるのを待ちます。

吐き気や頭痛などの重い症状が現れた場合には、家族に助けを求め、すぐに119番通報をしましょう。

また、ご家族や周りの方で、誰かが入浴中に「お風呂の時間が長いな」「急に大きな物音がしたな」など何か異変を感じたら、ためらわずに声をかけましょう。おぼれている・ぐったりしている・意識が無いといった様子が見られた場合は、すぐに救急車を呼びましょう。

予防のためのポイント

ヒートショックを防ぐためには、日常生活の中での温度変化を小さくする心掛けが大切です。予防のポイントをまとめましたので、家族みんなで取り組んでみましょう。

◆入浴時の予防ポイント

ヒートショック予防 入浴時のポイント

①浴室・脱衣所を暖めておく
入浴前に、脱衣所や浴室を暖めておきましょう。浴室に暖房設備がない方は、お湯はりをする際に、シャワーを活用してお湯をためたり、蓋を開けて蒸気を浴室内にためておいたりするといいですよ。
また、必ずかけ湯をしてから湯船に浸かりましょう。

②お湯の温度は41℃以下、浸かる時間は10分以内に!
42℃の熱いお風呂に10分浸かると体温は38℃まで上昇します。熱い湯で長風呂は危険ですから、41℃以下のお湯で、入浴時間は10分を目安にしましょう。温度計や時計を浴室に設置し、お湯の温度や浴室内の気温、入浴時間を「見える化」しておくのがおすすめです。

③浴槽内で急に立ち上がらない
湯船に浸かっている間は、身体に水圧がかかっています。急に立ち上がることで、水圧で圧迫されていた血液が一気に流れ、脳に流れる血液が少なくなってしまい貧血のような症状が現れる事があります。湯船から出る際は、手すりや浴槽にしっかりつかまって、ゆっくり立ち上がりましょう。

④食後や飲酒後・医薬品服用後すぐの入浴は避ける
血圧が下がっている可能性があるため、食後やお酒を飲んですぐの入浴は避けましょう。また、精神安定剤や睡眠薬などの服用後の入浴も避けましょう。

⑤入浴前は家族に声掛け
同居している家族がいる場合は、「お風呂に入るね」と一声かけてから入浴しましょう。

◆居住空間での予防ポイント

ヒートショック予防 居室でのポイント

①室温は18℃以上
WHO(世界保健機関)では、「住まいと健康に関するガイドライン」の中で、寒さによる健康被害から住む人を守るためには、室内温度を18℃以上にするよう勧告していて、18℃を下回った場合に、血圧の上昇や循環器系疾患のリスクが高まると報告しています。
エアコンなどの暖房器具を使用し、室温が18℃以上になるよう心掛けましょう。また、暖かい空気は上に、冷たい空気は足元へ溜まりやすいため、サーキュレーターを併用したり、ホットカーペットやこたつ・ひざ掛けを使用するなど、居室内の温度差を減らす工夫もするといいですよ!

②窓には断熱材
外の冷たい空気に触れる窓付近は、部屋の温度が下がりやすいため、窓に断熱シートを貼ったり、カーテンを二重にしたりすると良いでしょう。

③部屋間の温度差を小さくする
トイレや玄関、廊下だけ寒いといった事がないよう、可能であれば家全体を暖かくできるとベストです。玄関や廊下にも小型のヒーターなどを設置するか、暖かいリビングから暖房をつけていないところへ行く際は、上に一枚羽織る・必ず靴下・スリッパを履くようにするなど心掛けましょう。

④こまめな水分補給
水分不足になると血流量が減るため、血管に負担がかかりやすくなってしまいます。冬場でもこまめに水分を補給するようにしましょう。

高齢者の入浴中の死亡者数は交通事故の約3倍!

寒い時期、入浴中の突然死が多発し、特に高齢者の不慮の溺死・溺水は、令和3年度で6,458人と死亡原因の3位に上り、交通事故による死亡者数(2,150人)の3倍以上にまで上ります。
そのうち8割の事故が「浴槽」で発生していて、ヒートショックが関係している入浴中の事故によるものと考えられています。

65歳以上 不慮の事故による死因別死亡数

東京消防庁の月ごとの救急搬送者数をみてみると、11月から2月にかけての冬場にかけて多くの方が搬送されていることがわかります。東京の月平均気温と重ね合わせてみると、1日の平均気温が10℃を下回るようになると、増えているように感じられます。

東京の月平均気温と溺れる事故の搬送者数

朝晩と日中の気温差が大きい日や、前日よりグッと寒くなる日も、身体に負担がかかりますから、日々の天気予報も参考にして、ヒートショックのリスクに負けない知識と対策をして過ごしていきましょう!

<参考文献>
政府広報オンライン 交通事故死の約2倍?!冬の入浴中の事故に要注意!
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202111/1.html

消費者庁 みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_009/

消費者庁 高齢者の事故に関するデータとアドバイス等
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_067/assets/consumer_safety_cms205_221227_02.pdf

蓮田市 ヒートショックにご用心!
https://www.city.hasuda.saitama.jp/shobo/heat-shock.html

国土交通省 健康に暮らすためのあたたか住まいガイド
https://www.mlit.go.jp/common/001500202.pdf