雷はどうして起こるの?仕組みや起こりやすい季節を気象予報士が簡単解説!

激しい雨とともにゴロゴロ・ドーンと落ちる雷。どのようにして起こる現象か知っていますか?このコラムでは、雷が起こる仕組みや、発生しやすい季節、雷への備えを解説していきます。

雷の原因って何?どうして雷が起こるの?

雷の原因って何

雷を発生させている原因は、雲の中に存在している強い上昇気流なんです。雲の中には雨粒の素が、氷の粒としてたくさん存在しています。この氷の粒が、上昇気流によって雲の中を上昇する際、たくさんの氷の粒とぶつかり合うことで静電気が発生し、雲の中にはプラスの電気を持つ氷の粒とマイナスの電気を持つ氷の粒が存在するようになります。

雷発生のしくみ

やがて、雲の中でプラスとマイナスの電気の差が大きくなりすぎると、放電を始めます。これが「雷」です。雲の中だけで放電すると空に稲妻が走っている状態で、雲から地表面へ向けて放電が起きると「落雷」となります。

季節と地域の特徴~夏は太平洋側、冬は日本海側で多い~

全国の雷日数平年値

雷は、全国でどこでも見られる気象現象です。
上の、全国の気象台などで雷を観測した年間日数の30年平均値(1991~2020年までの30年間)を見てみると、新潟や金沢など日本海側の地域で、雷が観測される日数が多いことがわかります。
一般的な傾向としては、太平洋側の地域では夏に、日本海側の地域は冬でも雷の発生数が多いため、年間を通してみると新潟や金沢などの日本海側の都市で雷の発生日数が多くなっているんです。
雲の中で静電気が発生し、その電圧(プラスとマイナス)の差が大きくなると雷(稲光や落雷)になるというメカニズムは変わらないのですが、雲が雷雲へと発達する過程には、夏の雷と冬の雷とで違いがあります。それぞれ見ていきましょう。

・太平洋側で多い夏の雷

夏の雷

夏に雷雲が発生・発達する原因は、夏の強い日差しです。強い日差しに照らされ続けると地面付近の空気が暖められ軽くなります。軽くなった空気は、自然に上昇を始め、この上昇気流をきっかけとして雷雲が発生します。上空に寒気が流れ込んでいたり、山の斜面付近などは空気が上昇しやすく、雷雲が発生・発達しやすい気象条件、地形と言えます。

・日本海側に多い冬の雷

冬の雷

冬に雷雲が発生・発達する原因は、冬の季節風と暖かい日本海にあります。冬季、日本には中国大陸から冷たい季節風が吹いています。大陸と日本の間にある日本海は、比較的暖かいため、日本海の上を吹き渡っている間に海から熱と水分を補給し、海面に近い空気ほど暖かく水分を多く含むようになります。すると、上昇気流が生まれ、雲が発生・雷雲へと発達します。

雷へ備えるには

雷へ備えるには

雷が発生するかもしれない、という場合には、遅くとも前日までに天気予報の中で雷雨が予想されていることや、大気の状態が不安定で雷雲が湧きやすい日ですよ、という注意喚起が発表されています。
雷注意期間の半日程度前になると、お住いの市区町村に対し「雷注意報」が発表されます。雷注意報が発表されている場合は、気象庁のサイトなどで雷に注意が必要な期間を確認するといいですよ。雷注意報は、注意期間が午後なら当日の朝に発表されるなど比較的早めに発表されることが多いんです。

雷が鳴ったらどうしたらいい?

雷が鳴ったらどうしたらいい

雷は、近くに高いものがある場合は、そこへ落ちる傾向がありますが、まわりに高い建物が少ないグラウンドやゴルフ場、屋外プール、海岸などの開けた場所では、人へ落雷しやすいと言われています。ゴロゴロという雷鳴が聞こえた場合、すでに落雷可能性エリアに入ってしまっていますから、以下の事を頭に入れて、速やかに安全な場所へ避難しましょう!

・安全な場所とは

鉄筋コンクリートで出来た建物、自動車(オープンカーは不可)、バス、列車の中が比較的安全な場所と言えます。木造建築の建物の中も安全ではありますが、天井や壁、電気器具から1m以上離れた場所であれば、さらに安全です!

・近くに安全な場所が無い時、、、、

保護範囲

安全に避難できる建物などが無い場合は、電柱や鉄塔・建築物などのてっぺんを45度以上の角度で見上げられる範囲(保護範囲)で、その高い物体から4m以上離れた所に姿勢を低くして退避します。持ち物は、体より高く出ないように気を付けましょう。

まわりに高い物が樹木しか無い場合は、木に落ちた雷が木の下にいる人間にも飛び移ってくる(側撃雷と言います)可能性があり、大変危険です。人の体は木と比べるとはるかに雷を通しやすいため、最低でも木の幹、すべての枝・葉から2m以上距離を取る必要があります。また、保護範囲に退避していても、落雷地点の近くで座ったり寝ころんでいたりしていると、地面に接触している身体の部分に、電流が流れ、しびれや痛み、やけどが発生し、ときには歩けなくなることもあります。

雷は、よく起こる気象現象で、全国どこで発生してもおかしくありません。日頃から、雷が鳴る可能性を天気予報で確認し、近くで雷鳴が聞こえた場合は、速やかに安全な場所へ避難するようにしましょう!

<参考文献>
気象庁HP 雷について
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/toppuu/thunder1-1.html