6月から7月にかけては本州で梅雨時期となり、雨の日が多くなります。雨が続くと気分が上がらない方もいるかと思いますが、そんな気持ちを少し和らげる、梅雨時期から夏の終わりにかけての雨の特別な名前や表現をご紹介します!
6~8月は雨が多い?この時期に雨の降りやすい地域とは
6月になると、本州も続々と梅雨入りして雨のシーズンを迎えます。梅雨というと梅雨前線による長雨のイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、東と西で雨の降り方の傾向に違いがあり、西はザーザー降りに、東はシトシト雨となりやすいのが特徴です。西日本を中心にザーザー降りの雨となる理由は、西日本が前線の南側に入るため、暖かく湿った空気が流れ込むからです。梅雨後半となって梅雨前線が北上すると、東日本や東北でも雨脚の強まることがあります。
平年の1か月降水量(1991-2020年)をみると、梅雨入りの早い那覇は5月から降水量が一気に増えて6月がピークとなり、台風の影響で9月頃は再び雨が降りやすくなります。福岡は6月から降水量が増加し、7月は1か月で約300mmと他の都市より多いのが分かります。大阪は西日本の中では雨が少なめの地域ですがピークは梅雨時期の6~7月です。東京は梅雨時期よりも秋の台風シーズンに雨量が増え、梅雨のない札幌は雪によって降水量が増えるのが特徴です。
梅雨の雨の名前や表現5選
雨が続いてジメジメしがちな梅雨時期。気分が上がらないこともありますが、梅雨の雨には特別な名前があり、さらに梅雨時期に使う表現も様々なものがあります。
① 黴雨(ばいう)
一般的には「梅雨」という漢字が使われますが、「黴雨」と書くこともあります。“黴”は訓読みにすると“かび”で、かびの生えやすい梅雨時期の長雨を表しています。
② 五月雨(さみだれ)
五月と書きますが、旧暦の5月ですので現代ではおよそ6月頃のことで、こちらも梅雨時期の長雨を表す表現です。俳句にもよく使われ、松尾芭蕉の“五月雨をあつめて早し最上川”という句が有名です。
③ 卯の花腐し(うのはなくたし)
卯の花はウツギのことで、長雨によって花を腐らせるのではないかという意味があります。卯の花腐しは初夏の季語で5月中旬から6月上旬頃にかけての雨を表します。
④ 男梅雨・女梅雨
梅雨には降る時と降らない時とのメリハリがハッキリした「陽性の梅雨」と、シトシト雨が長く続く「陰性の梅雨」があります。この陽性の梅雨を「男梅雨」、陰性の梅雨を「女梅雨」といいます。
⑤ 空梅雨(旱梅雨)・戻り梅雨(送り梅雨)
空梅雨(からつゆ)とは、ほとんど雨の降らない梅雨のことで、旱梅雨(ひでりつゆ・ひでりづゆ)ともいわれます。
戻り梅雨とは、梅雨明けの頃に再び梅雨のような天気に戻ることで、送り梅雨ともいわれます。
盛夏の雨の名前や表現5選
7月から8月にかけて、夏本番を迎える時期にも様々な雨の表現があります。特に七夕の頃はその日にしか使えない表現があり、由来もロマンティックです。
① 洗車雨(せんしゃう)
七夕前日の7月6日に降る雨のことです。彦星が織姫に会いに行くために牛車を洗っている水が降ってくるのが由来となっています。
② 催涙雨(さいるいう)
七夕当日の7月7日に降る雨のことです。雨で天の川が渡れなくなり、会うことができなくなってしまった織姫と彦星が流す涙が由来となっています。
③ 神立(かんだち)
元々は雷や雷鳴のことですが、雨とセットのことが多いため、雷雨のことを表しています。夏のにわか雨を夕立(ゆうだち)といいますが、同じような意味となります。
④ 土用雨(どようあめ)
夏の土用(立秋の前の約18日間)の頃に降る、梅雨末期の雨のことで、時には大雨となって災害をもたらすこともあります。
⑤ 狐の嫁入り
晴れているのに降る雨のことで、天気雨(てんきあめ)や天泣(てんきゅう)ともいいます。1年を通して使われる表現ですが夏の季語で、夏から秋にかけて起きやすい現象です。
夏の終わりの雨の名前や表現2選
夏の終わりから初秋にかけては、台風や前線の影響で雨が降りやすくなります。暑さを和らげる一方で、大雨となることもあり、災害に注意が必要な時期です。
① すすき梅雨
夏の終わりから秋にかけては、すすきが見頃となる時期のため、この頃の長雨をすすき梅雨といいます。一般的には秋の長雨と呼ばれることの方が多くなります。
② 秋雨(あきさめ)
8月の終わりから10月頃にかけて降る長雨のことで、秋の長雨や秋霖(しゅうりん)ともいいます。台風の接近や前線の活動が活発となることで、時には大雨となることがあります。
<参考>
・気象庁 過去の気象データ検索
https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php