みなさんは、長野県諏訪湖の「御神渡り(おみわたり)」をご存知ですか?
冬に現れる自然現象で、1443年の室町時代から約580年にもわたって観測が続けられています。
今回は、この神秘的な「御神渡り」の仕組みや近年の出現についてお話します。
御神渡りとは?仕組みとできる条件、気温
御神渡りとは、冬の寒さで諏訪湖が全面結氷し、氷面がせり上がる自然現象です。
-10℃以下の気温が数日間(少なくとも3日)続き、諏訪湖全体が結氷することを指します。諏訪湖周辺では、例年1月頃に全面結氷し「諏訪の冬」の風物詩となっています。
氷の厚さが一定に達してくると、昼間の気温上昇で氷が緩み、夜間は気温が下降するので氷が成長し膨張します。氷が膨張と収縮を繰り返すことで湖面の面積は足りなくなり、大音響とともに湖面上に氷の亀裂が走り、せりあがる現象が起こります。
この現象を「御神渡り」といい、諏訪大社上社の男神が下社の女神のもとへ渡るための道として言い伝えられていることから、御神渡りと呼ばれているそうです。
5年連続で「不出現」今シーズンはどうなる?
御神渡りの観測は、室町時代の1443年から約580年間も続いています。
例年、御神渡りの出現を認定しているのが、諏訪市の八剱(やつるぎ)神社です。寒の入りとされる1月の「小寒」から2月の「節分」までの約1か月間、毎朝午前6時過ぎに八剱神社の宮坂清宮司や総代ら10人ほどが湖畔に集まり、湖面を観測しています。
近年は気温が-10℃前後まで下がることが少なくなっていて、御神渡り不出現の年が多くなっています。また、諏訪湖が全面結氷しない年も出ています。2018年1月に観測されて以降、直近5年は見られていません。
今年も観測されなければ6年連続の御神渡り不出現となります。
御神渡りを見に行くときの注意点
見に行く際は、以下の点に注意が必要です。
・氷上には立ち入らない
諏訪湖は、温泉や天然ガスの湧き出ている所があるため、氷の厚さが均一にはなっていません。厚さの薄い所に立ち入り、氷が割れて落ちてしまうと大変危険なため、安全な場所から観察するようにしましょう。
・寒さ対策をしっかり
1月下旬の諏訪湖周辺の最低気温は-6度前後、最高気温は3度台と、凍える寒さとなります。
見に行く際は、ダウンジャケットやカイロなど、寒さ対策を十分に行いましょう。
また、路上駐車は近隣への迷惑となるため、行わないように諏訪警察署が協力を呼び掛けています。マナーを守って観察しましょう。
冬の諏訪湖の風物詩「ワカサギ釣り」が楽しめる!
筆者は長野県出身で諏訪湖からも近いのですが、冬の諏訪湖ではワカサギ釣りも有名です!
以前は、全面結氷した表情から穴をあけた穴釣りが盛んでしたが、近年は氷が張らなくなったことから、ドーム船の中でワカサギ釣りが体験できるようになっています。
ワカサギ釣りは例年10月頃からスタートし、翌年3月下旬頃まで楽しめます。
諏訪湖周辺ではワカサギ釣りを行っている施設がいくつかあり、プランにもよりますが、その場で揚げたワカサギの天ぷらを頂ける所もあります!
気になる方は「御神渡り」観察とともに、諏訪湖の冬のレジャーを楽しんでみてはいかがでしょうか!
<参考資料>
・国土交通省中部地方整備局「諏訪湖の御神渡り」
https://www.cbr.mlit.go.jp/tenjyo/jimusyo/publication/pbl_tell/pdf/10.pdf
・東海林明雄(2021)「御神渡りの発生と成長発達」、日本雪氷学会誌雪氷83巻4号p403-419
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seppyo/83/4/83_403/_pdf/-char/ja
・諏訪湖漁業協同組合「わかさぎ釣り舟のご案内」http://www.suwakogyokyou.com/