日本屈指の豪雪地として有名な酸ヶ湯(すかゆ)や肘折(ひじおり)。冬のシーズンはニュースで耳にすることも多いのではないでしょうか。それぞれの地域の概要やどちらの方が大雪になるのか解説していきます。
日本は世界的にも雪の多い地域
日本はシベリア大陸の寒気が季節風として流れ込みやすく、その寒気が日本海を通過する際に比較的暖かい海面から水蒸気が補給され、それが雪として日本海側を中心に大雪をもたらします。滋賀県の伊吹山では現在は観測が行われていませんが、1927年に11mを超える積雪が観測され、日本は世界的にみても豪雪地帯といえるでしょう。
そんな雪の多い日本ですが、現在観測している地点としては、豪雪地として有名な酸ヶ湯や肘折について見ていきます。
豪雪地「酸ヶ湯」の特徴
青森県の酸ヶ湯は、八甲田山のふもとにあり、温泉地として有名です。名前の由来は鹿が温泉で傷をいやしたことから鹿湯(しかゆ)とされ、お湯が強い酸性であることから酸ヶ湯(すかゆ)に名前が変わったとされています。積雪を観測するアメダスの標高は890mと、ほかのアメダスよりも高い所にあるため、積雪量が多くなります。
豪雪地「肘折」の特徴
山形県の大蔵村にある肘折は、出羽三山の月山への登山口があり、多くの参拝者などでにぎわいました。肘折は昔の火山活動によって生じたカルデラ地形と呼ばれる広く大きなくぼ地となっていて、日本海側に吹く季節風が山にぶつかり留まりやすい地形になっています。湯治を行う温泉地としても有名で、名前の由来は肘を負った老人が肘折の地にあった温泉に入った所、たちまち折れた肘が治ったこととされています。
(検証)酸ヶ湯と肘折はどちらの方が降雪量が多いのか?
過去のデータからどちらの地点の雪の量が多いのか検証してみました。
過去15年のデータをもとに年間の降雪量(雪の降った量)を比較しましたが、イメージしやすくするために雪まつりなどで有名な札幌を追加して比較しています。(一部アメダスデータに不足があり、データを除外している年もあります。)
結果としては、酸ヶ湯が肘折を若干上回り15m前後となりました。
これは仮にその年に降った雪がとけずに積み上がった場合の高さになり、とんでもない量であることが分かると思います。一方、肘折も10mを超える年が多く、札幌が5m程度ですので2倍以上もの雪が降っています。
実際にニュースなどで取り上げられるのは現在積もっている量(積雪量)であることが多く、とけてしまったり、雪の重さで沈んでしまったりした結果ですが、それでも酸ヶ湯は2013年に5m66cmを記録し、現在も観測を続けているアメダスの中では観測史上最大となっています。
今年の雪の降る量は?
今年の冬は偏西風が平年よりも北側を流れるため、冬型の気圧配置になりにくい傾向となっています。このため、例年に比べると冬の総降雪量は少なくなりそうですが、1月18日に発表された気象庁の一か月予報によると、酸ヶ湯や肘折が位置する北日本の日本海側のこの先一か月の降雪量はほぼ平年並の予想となっています。
今年も「冬型」や「大雪」のワードを耳にしたら、豪雪地に注目してみてはいかがでしょうか。
<参考>
気象庁 あおもりゆきだより2019 第 4 号
https://www.jma-net.go.jp/aomori/pub-relations/pdf/yuki/yuki2019_04a.pdf
気象庁 向こう1か月の天候の見通し
https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P1M