11月は寒気が南下しやすくなり、北日本を中心に、気象台からは続々と冬の便りが届いています。
気象台では冬の季節現象を観測
各地方の気象台では、季節の遅れや進み、気候の違い、変化などを総合的な気象状況の推移を把握するため、冬の季節現象(初霜、初氷、初雪、初冠雪)を観測しています。
季節現象とは、ある季節だけに現れ、その季節を特徴づける生物活動や大気・地面の現象を指します。初雪や初霜など冬の季節現象のほかに、梅雨や春一番、桜の開花、秋雨などがあります。
このコラムでは、それぞれの冬の季節現象の意味や観測方法などをお話します。
初霜…その年の寒候年に初めて霜が降りた日
初霜とは、その年の寒候年に初めて霜が降りた日のことです。
(寒候年は、前年8月から当年7月までの期間を指し、今シーズンで言うと、2023年8月から2024年7月の期間のことを言います。)
霜は、空気中の水蒸気が昇華(しょうか:気体から直接固体に変化すること)して、地面や地物に付着した氷の結晶です。
〜観測方法〜
露場(ろじょう)という、屋外で芝生に覆われていて気象観測を行っている所、もしくはその周辺の状態を気象台の職員が目視により(目で見て)観測します。
この冬は10月24日が二十四節気の霜降(そうこう)で、霜が降りる頃という意味です。
霜は、最低気温が3℃以下になると降りやすくなり、北日本では10~11月頃、東・西日本では11~12月頃にかけて初霜が観測されます。
初氷…その年の寒候期に初めて氷が張った日
初氷とは、その年の寒候年に結氷を観測した日を指します。
結氷とは、屋外にある水が凍る現象です。
その冬に、水たまりなどに初めて氷がはった、という意味です。
この結氷の最初の日を気象庁では「結氷初日」と言います。
〜観測方法〜
初霜と同じく、人が目で見て観測しています。
観測は露場(気象台の構内)、もしくはその周辺(水たまりなど)において目視によって行っています。
露場で観測するときは、露場に水を張った容器(結氷皿)を置いて、そこに目で見て氷が張っていることを確認できれば結氷としています。
気温が氷点下や、プラス1℃程度になると結氷が観測されやすく、例年、北海道では10月頃から、西日本では12月頃にかけて初氷が観測されます。
初雪…その年の寒候年に初めて雪が降った日
初雪と聞くと、冬の到来を感じますね!
初雪とは、その年の寒候年に初めて雪(みぞれを含む)が降った日を指します。
〜観測方法〜
以前は全ての都道府県で、気象台の人が目視で初雪の観測を行っていましたが、2020年頃までにはほとんどの県で初雪の観測は自動化されました。
観測方法は、降水現象を感知する感雨器という機器と、温度計や湿度計による気温や湿度の観測値を総合して雨・みぞれ・雪を判別しています。
平年日は、札幌が11月1日、大阪で12月26日、東京は1月3日となっています。
初冠雪…山頂付近に雪が積もり、その年の寒候年に付近の気象台から初めて冠雪を観測した日
雪やあられなどが山頂付近に積もり、白く見えることを冠雪といいます。
~観測方法~
その年の寒候年に、付近の気象台から対象となる山の頂を眺め見て、初めて見えたときを、その山の初冠雪といいます。
例えば、富士山の初冠雪の定義は「その年の最高気温日を観測して以降に、甲府地方気象台からみて山頂付近が初めて積雪などで白く見えること」となっています。
実際に山頂に雪が積もっていても、雲などがかかっていて気象台から見られなければ、観測したことにはならないのです。
この冬は、10月5日に甲府気象台が富士山の初冠雪を発表し、昨年より5日遅く平年より3日遅い観測となりました。
標高の高い富士山や北アルプスの立山や白山は、例年10月から初冠雪を迎え、そのほかは概ね北の地域から観測されていきます。
<参考資料>
・気象庁:「よくある質問集 雨・雪について」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq1.html#21
・仙台管区気象台:「報道発表」
https://www.data.jma.go.jp/sendai/topic_old/22/20221118_presss_hatsushimo.pdf
・甲府地方気象台:「気候・気象統計 季節の観測の記録」
https://www.jma-net.go.jp/kofu/shosai/chousa.html#Kisetsu