秋が深まるこの時期は、各地で紅葉が見頃を迎えています。東北の見頃はいつになるのか、紅葉する仕組みも併せて解説します。
まだ間に合う、今年行っておきたいアクセスしやすい紅葉スポットもご紹介します!
何で紅葉・黄葉するのか?
葉っぱが赤くなることを紅葉、黄色に変化することを黄葉(こうよう)と言います。
そもそも紅葉と黄葉は異なるメカニズムで色が変わります。まず黄葉から説明していきます。
葉の中にはクロロフィルと呼ばれる緑色の色素とカロチノイドと呼ばれる黄色の色素が含まれています。秋になり気温が下がるとクロロフィルが分解され、カロチノイドが目立ち、葉が黄色に変化します。
葉が赤く色づくのはさらにもう一段階必要になります。
夏の間は、葉の光合成で作られた糖分が枝を通して樹木へ運ばれますが、秋になると葉と枝の間に「離層」と呼ばれる層ができ、糖分の輸送がストップします。この糖分に日光が当たることで、アントシアニンという赤い色素に変わり、葉が色づきます。離層ができる理由は樹木が冬支度を始め、糖分を消費する葉を落とすためだと言われています。
きれいに色づく気象条件
葉っぱが色づくのに必要な条件は、最低気温が8℃以下になることが重要と言われています。
8℃を下回ると葉の中のクロロフィルが分解されやすくなります。クロロフィルが分解されることで、葉の緑色が弱くなり、赤や黄色といった色が鮮やかに目立つようになるのです。
また、美しい紅葉のためには、木々がしっかりと日差しを浴びていることが大切で、夏から秋の間の日照時間の長さが影響してきます。今年の7月から9月の3か月間の日照時間は、北・東日本を中心に平年に比べて長く、十分に日差しを浴びていると言えそうです。
今年はいつが見頃?
東北の紅葉は一般に9月下旬から11月下旬が見頃と言われています。特に名所として有名な磐梯吾妻スカイラインや三ツ石山、栗駒山などは残暑が長引いたこともあり、平年より一週間程度遅めの紅葉を迎えています。
ただ、電車などでもアクセスのしやすい都市部に降りてくるのにはまだ時間がかかり、今年は11月中旬以降に見頃を迎えそうです。
東北おすすめスポット6選
今回は、これからでもまだ間に合う、都市部の紅葉について6箇所をご紹介します。
弘前公園(青森県弘前市)
弘前藩主津軽家の代々の居城、弘前城の敷地に広がっています。さくらまつりが全国的に有名ですが、季節に合わせて秋は紅葉まつり、冬は雪燈籠まつりなど様々なイベントが開催されます。また、夜は特別ライトアップも楽しむことができます。
アクセス:弘前駅からバスで15分、車で10分
平年の見頃時期:10月下旬~11月上旬
角館武家屋敷(秋田県仙北市角館)
江戸時代に栄えた城下町で、「みちのくの小京都」とも呼ばれ、武家屋敷など古くからの建物が立ち並んでいます。春の時期はしだれ桜が有名ですが、秋の時期はカエデが昔ながらの街並みを彩ります。
アクセス:角館駅から徒歩15分、車で5分
平年の見頃時期:10月下旬~11月中旬
中尊寺(岩手県西磐井郡平泉町)
2011年に世界遺産「平泉」として登録された史跡の一部に国宝「中尊寺金色堂」と呼ばれる史跡があります。中尊寺の敷地内は、様々なもみじが丁寧に手入れをされており、本堂のさらに奥では、水面に移る秋の色が広がります。
アクセス:平泉駅から徒歩20分、新幹線発着駅の一ノ関駅からバスで15分
平年の見頃時期:10月下旬~11月上旬
円通院(宮城県宮城郡松島町)
円通院(えんつういん)とは国の重要文化財であり、伊達政宗が建てた国宝「瑞巌寺(ずいがんじ)」の隣にあります。夜は、円通院の紅葉がライトアップされ、幻想的な風景を楽しむことができます。また、境内の庭は、ピーク時には100種以上のバラを鑑賞できるバラ寺としても知られています。
アクセス:仙石線松島海岸駅から徒歩で7分、東北本線松島駅から徒歩22分
平年の見頃時期:10月下旬~11月下旬
もみじ公園(山形県山形市)
山形市民に人気の紅葉スポットで、真言宗の巨刹宝幢(きょさつほうどう)寺の庭園だったものを、山形市が都市公園として整備し開放しています。低木の緑と紅葉の赤や黄色を池の水面が反射して鮮やかなコントラストが楽しめます。
アクセス:山形駅から徒歩で25分、バスで15分
平年の見頃時期:10月下旬~11月下旬
鶴ヶ城(福島県会津若松市)
今からおよそ640年前に造営したのが始まりとされ、幕末の戊辰戦争では新政府軍の猛攻に耐え難攻不落の名城と称えられました。2023年の春に天守閣がリニューアルし、会津若松市のシンボルである鶴ヶ城と紅葉をセットで楽しめます。
アクセス:会津若松駅から徒歩で30分、観光循環バスで10分、会津若松ICから車で10分
平年の見頃時期:10月下旬~11月中旬
いかがでしょうか。秋は東北で芋煮やキノコ狩りなど食べ物の美味しい時期でもあります。是非食べ物やレジャー、温泉などとセットで紅葉も楽しみに来てはいかがでしょうか!
<参考>
農林水産省「特集2 森へ行こう(2)」:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1610/spe2_02.html
気象庁「日本の地域平均気候表」:https://www.data.jma.go.jp/cpd/cgi-bin/view/kikohyo/index.php?kikan=3mon&year=2023&month=9
世界遺産平泉保存活用推進実行委員会「平泉の文化遺産を知る」:
https://www.sekaiisan.pref.iwate.jp/know/wheritage