風が強いと感じる風速はどのぐらい?風の強さと体感を気象予報士が解説!

天気予報では、風の強さを「m/s(メートル毎秒)」という単位で表しています。これは、風の強さ(風速)が、1秒間に大気(空気)が何m移動するかを示しているためです。例えば、風速10m/sは、1秒間に10m大気が移動したということになります。
ただ、風速10m/sと言われても、実際どのぐらいの強さなのかピンとこないですよね。このコラムでは、風が吹くメカニズム、平均風速と最大瞬間風速の違い、気象庁で使われている風の強さの表現と体感を解説致します。

そもそも風はどうやって吹くのか。風が吹くメカニズム

風を生み出しているもの、それは「気圧の差」です。私たちの目には見えませんが、日々の天気や場所によって気圧には高いところと低いところが出来ています。例えば、良く天気予報でお伝えする「低気圧」。これは、周りより気圧が低いところを表しています。反対に、気圧が高くなっているところは「高気圧」ですね。

気圧は、大気の重さを表しているため、低い所は軽く、高い所は重くなっています。この差をなくそうと高い所から低い方へ大気が移動することで、風が生まれるんです。気圧の差が大きいほど強い風が吹くため、台風や発達した低気圧が接近すると、気圧の差が大きくなり暴風に見舞われてしまいます。

平均的な風の強さと瞬間的な風の強さがある

気象庁が定義している風には、4種類あります。風は弱まったり強まったりしながら吹いているため、それぞれの意味と防災上の注意ポイントを確認しておきましょう。

①平均風速

天気予報で単に風速●m/sと表現されていた場合は、平均風速を表しています。何の平均かというと「10分間に吹いた風」の平均です。春一番や木枯らしなどの著名な風は平均風速8m/s以上、強風への備えとして発表されている強風注意報はだいたい平均風速10m/sが目安になっています。強風注意報は、強風によって災害が起こるかもしれないという時に発表される情報ですから、洗濯物が飛ばされたり、自転車など屋外においている物が倒れたりしないよう注意しましょう。

②最大風速

こちらは、平均風速の最大値を表しています。

③瞬間風速

平均風速が10分間の平均に対して、瞬間風速は3秒間の平均値。まさに、瞬間的に吹く突風や竜巻などの激しい突風による風の強さを表しています。

④最大瞬間風速

こちらは、瞬間風速の最大値を表しています。ゲリラ豪雨や雷雨が起こりやすい日は、最大瞬間風速が大きくなりやすい傾向にあり、天気予報でお伝えしている数字より、突発的に強い風が吹く可能性があります。

風速は何メートルから強いと感じる?風の強さの表現と体感

気象庁では、わかりやすく風の強さを伝えるために、風速と風の強さの表現に決まりを設けています。ニュースなどで見聞きした場合にイメージしやすいよう、確認していきましょう。

<やや強い風 = 平均風速10m/s以上15m/s未満、瞬間風速20m/s程度>
平均風速が10m/s以上15m/s未満の場合は「やや強い風」という表現を使います。時速に換算すると60km/h程度で、一般道を走る車と同じぐらいです。走る車内の窓から感じる風が吹いているイメージです。
風に向かって歩くと歩きにくさを感じ、雨が降っている場合は傘をさすことが困難になります。樹木全体や電線、雨樋が揺れはじめ、高速道路を走行中の車は横風により流される感覚を受けます。

<強い風 = 平均風速15m/s以上20m/s未満、瞬間風速30m/s程度>
平均風速が15m/s以上20m/s未満の場合は「強い風」と表現します。風に向かって歩くことは困難となり、強風にあおられ転倒する場合もあります。電線が鳴り、看板やトタン板、屋根瓦が外れることも。雨戸やシャッターを閉めても揺れ始めます。

<非常に強い風 = 平均風速20m/s以上30m/s未満 瞬間風速40m/s程度>
平均風速が20m/s以上30m/s未満の場合は「非常に強い風」という表現を使います。何かにつかまっていないと立っていられないほどの強風で、傘など飛来物によってケガをしてしまうこともあります。走行中の車は、通常の速度での運転は困難となり、屋外では細い幹の木が倒れたり、道路標識が傾いたりします。また、固定されていないプレハブ小屋などは移動・転倒してしまうことも。
暴風警報が発表される目安が、概ね平均風速20m/sとされていて、重大な災害が起こるおそれがあります。

<猛烈な風 = 平均風速30m/s以上 瞬間風速50m/s以上>
平均風速が30m/sを超えるようになると「猛烈な風」と表現します。時速は120kmを超えるようになり、特急電車に匹敵するほどの強さです。屋外は極めて危険で、電柱や樹木、ブロック塀が倒れる事があり、走行中のトラックも横転する危険があります。倒壊してしまう住宅もありますから、避難される場合は鉄筋コンクリートあるいは鉄骨鉄筋コンクリート造の頑丈な建物になさって下さい。

台風の大きさは、強い風のエリアの大きさで決まる

台風は、平均風速15m/s以上の風が吹くエリア・吹くと予想されるエリアが、台風の中心からどのぐらいの大きさ(半径)かによって「大型」と「超大型」で表現されます。
それぞれの大きさは、下の表のように決められていて、日本列島と比較するとイラストのようになります。

強い風が予想されているという情報が発表されている場合や、竜巻などの激しい突風のおそれという注意喚起がされている場合は、風で飛ばされる物が無いか点検をしておきましょう!

 

参考・画像出典:
気象庁 リーフレット 風の強さと吹き方
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/amekaze/amekaze_ura.png