厳しい残暑の秋、食中毒に気を付けて~9月の空と暮らす~

長かった夏休みが終わり、ようやく2学期が始まりましたね!秋は子供たちの行事や行楽シーズンで、お弁当を作ったり屋外で食事をしたりする機会が増える季節。そこで気を付けて頂きたいのが、食中毒です。今月は、9月の天気の特徴と、なぜ秋にも食中毒に気を付けなければならないのか、食中毒の発生原因、対策方法についてまとめました。

9月の天気の特徴:夏の高気圧がパワーダウンし秋雨の季節へ

夏の高気圧が徐々にパワーダウンし、例年だと暑さが徐々に落ち着いて来る頃です。
ただ、2023年は、夏の高気圧の勢力が衰えず、全国的に厳しい暑さが予想されています。

8月22日に気象庁から発表された秋の見通し(3か月予報)では、9月・10月ともに全国的に残暑が厳しいと予想されています。

全国で9月に観測された最高気温の記録を見てみると、9月前半でも、体温を上回る暑さを記録している事がわかります。9月に観測された歴代最高気温は新潟県三条で40.4度。2023年も、この記録に迫るような危険な暑さに見舞われる可能性があります。もう暑さはうんざり、、、、だと思いますが、引き続き熱中症対策をしてお過ごし下さい。
子供たちは、これから秋の運動会や体育祭のシーズンに向けて練習がスタートする時期ですから、水筒を持参し、おうちではしっかり休息・睡眠をとるようにしましょう!

夏の高気圧が弱まると、北から秋の空気が南下し、夏の空気との境目に前線が発生して、秋雨シーズンに突入。この頃になると、暑さ寒さも彼岸までという言葉があるように、朝晩は涼しく感じられるようになります。
この時期に、台風が発生・発達すると、前線の活動が活発になり、大雨災害に注意が必要です。天気図の中に、前線と台風マークが一緒に描かれていた場合は、大雨への備えが必要かなと頭の片隅におき、こまめに最新の天気予報を確認するようにしましょう。

日々の天気図と天気解説はこちらから(https://sorakura.jp/chart/

秋でも食中毒に気を付けなければならない訳

食中毒は、気温・湿度が高い真夏に発生する事が多いと思われがちですが、月ごとの発生件数を見ると、9月~10月の秋にも増加していることがわかります。2022年に発生した食中毒の原因を見てみると、秋に発生しているものは①カンピロバクターなどの細菌、②アニサキスなどの寄生虫、③キノコや貝類などの自然毒となっています。

秋は、運動会や遠足などの行事でお弁当を食べたり、キャンプやバーベキューなど屋外で調理したりする機会が増える季節です。気温・湿度ともに高い夏場に比べ気が緩んでしまうことで細菌性の食中毒に繋がる場合もあります。
また、キノコ狩りや山菜狩りなど秋のレジャーによって自然毒による食中毒の発生件数が増えていることがわかります。
それぞれの原因と対策について見ていきましょう。

秋に増える食中毒の発生原因3つ

①細菌が原因の食中毒
細菌性食中毒の原因は様々ありますが、カンピロバクターという細菌による食中毒が最も発生数が多く、2022年は細菌性食中毒の約70%がカンピロバクター食中毒でした。
カンピロバクターは、ニワトリや牛の腸管内にいる細菌で、少量の菌が体内に入っただけでも食中毒を引き起こしてしまうという特徴があります。これまでの発生事例では、生や加熱不十分の鶏肉を食べたことが原因の多数を占めています。カンピロバクターは熱に弱いため、唐揚げや焼き鳥、バーベキューなどで鶏肉を調理する際は、中までしっかり火を通しましょう。目安としては、75℃以上で1分間以上加熱すると良いと言われています。
また、鶏肉を触った後はしっかり手洗いをし、まな板や包丁などの調理器具も良く洗ってから次の調理に取り掛かりましょう。

②寄生虫が原因の食中毒
食中毒の発生原因として最も多いのが寄生虫、特にアニサキスによる食中毒です。
アニサキスは、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生して
いる白い糸のような寄生虫です。アニサキスが寄生している魚介類を食べる事で、食中毒を引き起こします。
寄生虫の食中毒にかからないためには、まず食材を目視でよく確認することが大切です。生で食べる場合は念入りに確認しましょう。また、加熱(70℃以上、または60℃なら1分)によって死滅しますから、しっかり火を通して調理しましょう。冷凍保存(-20℃で24時間以上)も有効です。

③自然毒が原因の食中毒
自然毒による食中毒には、フグなどの動物性とキノコなどの植物性の自然毒の2種類があります。どちらも加熱などの調理では解毒・弱毒化されることはありません。
フグは調理に資格が必要なため、釣ったフグや譲り受けたフグは素人調理せず、専門の方に依頼をしましょう。
また、食用だと判断できないキノコや山菜などは採らない・食べないを心掛けて下さい。

これで安心!家庭での食中毒予防

食中毒予防の3原則は「つけない・増やさない・やっつける」です。詳しくは、こちらの記事に掲載していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

”温度や湿度は天敵?食中毒の症状や予防・対処方法とは”
https://sorakura.jp/20230625201-2/

家庭でできる食中毒予防の6つのポイントを紹介します。

①買い物の際
生鮮食品は、一番最後に購入するように心掛けましょう。また、食材を選ぶ際は、鮮度のよいものを!表示が付いているものは、必ず消費期限を確認しましょう。
購入後は、肉汁や魚の水分などが漏れないようにビニール袋にそれぞれ包んで、できれば氷(保冷剤)と一緒に入れて、持ち帰ると良いですよ。

②帰宅後
速やかに食材を冷蔵庫・冷凍庫へ!肉や魚は、他の食品に肉汁や水分が付かないようビニール袋や他の保存容器に入れて保存しましょう。

③料理を始める前に
タオルやふきんは清潔なものに取り替えましょう。冷凍していた食材・食品を解凍する際は、冷蔵庫か電子レンジを使用すると良いですよ。

④調理時
こまめに手洗いをしましょう。
野菜や果物は良く洗い、肉や魚の汁が付かないよう十分注意して下さい。また、肉や魚を切った包丁やまな板は使用後良く洗い、できれば熱湯をかけてから次の調理に使用しましょう。
加熱調理をする際は、中心部の温度が75℃以上で1分以上火を通すようにすると良いですよ。電子レンジで温める際は、ムラなく均一に温められるよう蓋やラップをして行ってください。

⑤食事の際
食べる前にもよく手を洗いましょう。
清潔なお皿やトレイに盛り付け、キレイなお箸などで食べて下さい。作った食品を長い時間
室温に出しっぱなしにしないようにしましょう。

⑥残った食品の保存時
保存する際も手をよく洗い、清潔な容器やお皿に移し替えましょう。
早く冷えるよう、なるべく小分けにして浅い容器に入れるのがおすすめです。
温めなおして食べる際は、良く加熱し、少しでも怪しいと思ったら食べずに捨てましょう。

食中毒の予防をしっかり行って、食欲の秋、スポーツの秋を思う存分楽しみましょう。

 

(参考資料)
厚生労働省 食中毒
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html

厚生労働省 4.食中毒統計資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html